第21話 この先
家に着き、手を洗ったら、自分の部屋に入室した。
言わずもがな、短編小説の制作に取りかかるのだ。
どういうジャンルで、どのようなテーマの作品を作り上げるか?
思考を
その日の
キーボードから、なかなか手を離せなかったからである。
しかし、
やはり、
そんな、簡単な
――先が見えないな……。
その日は、マイナス思考を抱えながら、
次の日が訪れる。
朝の登校時間も、ひたすら小説のことばかりを考える。
「…………」
しかし、考えれば考える程ドツボにはまっていく感覚が
これだ! という要素が脳内で
今までと同じやり方で執筆するならば、
いつも通りのやり方では、まず通用しないだろう。
――それにしても、
…………。
いや、一週間か⋯⋯。
現実は、俺に
頑張る、だけでは出来ないことだから。
だから、先が思いやられる。
――一旦、頭から
脳に負担をかけ続けるのも良くない。
次は、休み時間の時にでも考えよう。逆にコロッと、良いものが思いつく可能性もある。
しかし、気を抜いたら小説のことについて考えてしまう。結局、脳に負担をかけ続ける登校時間なのだった。
それも、進歩となる
学校に到着するまで、ただただ自分を追い込んだだけだった。
俺は、学校に到着して、教室に入り、自分の席に着席して、
「
そして、辻さんが
今日も、その水色のセミロングヘアがサラサラと揺れており、とても
「おはよう、辻さん」
「板橋くんの執筆の調子は、どんな感じ?」
「……あまり良くないな」
「まあ、始まったばっかりだもんね。まだ、しょうがないよ」
「そうだな。しかし、一週間後も、今みたいな状況の可能性も全然あり得るから、
「それは、確かに困るね」
「でも
「それは、
「……そっか」
そこまで
「だが、想像通りに難しい条件を
「やばいって感じだね」
「そうだ」
「……板橋くん。実は私ね」
「……うん?」
「もう
ほお、と思う。
「それは、すごいな……」
「睡眠を
「…………」
まあ、そうだろう。
面白くない小説を
小説が面白いから、徹夜してでも読めたのだろう。
「二冊よりも、いたばしこう先生の小説の方が断然大好きだったけど……普通に好きな作品も増えたかな⋯⋯」
「ちなみに、どの本を読んだんだ?」
「
「じゃあ、残りはシリーズものの五冊か」
「そうだね」
――あと、と彼女は声を出す。
「その二冊のラノベを読んで、いくつか創作のアイデアがひらめいて。役に立つかは分からないけど、放課後、その案を板橋くんの作品に取り入れられないか、考えない?」
「…………」
たしかに昨日、辻さんは――私も力になりたい、何かアイデアを出せれば――と言っていたもんな。
しかし、驚いた。
まさか、昨日の今日で彼女のアイデアを共有できる事になるとは……。
「じゃあ、放課後……二人で話し合おうか」
「……うん!」
辻さんの……いや、
もちろん、いくら凄いアイデアを紹介されても、そのままを取り込むつもりは無いが(さすがに作家のプライドくらいはある)、参考にしてアレンジするのであれば……。
――
そうだ。辻さんも言っていた。
一人で出来ないことも、二人いれば何とかなるのかもしれない。
これは、ラノベ研究部、最初の活動だと。
――天才イラストレーターのアイデアが、役に立たないわけが無い。
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