筋肉こそ最強! と魔法の育成をしなかった大魔導士ですが、転生後の人生に筋肉は引き継がれませんでした(それはそう)

 神様の不注意で命を落として異世界転生した青年、久能 欣二。

 転生ついでに滅亡の危機にある世界を救うように命じられた欣二だったが、一般人の彼にそんな力があるはずもない。

 そこで本命の世界に転生する前に、別のファンタジー世界へのワンクッション転生を挟み、魔法技術と知識を極めた上で再転生を行うことになる。


 2度目の人生で彼が転生した先は、魔物や魔法はあっても比較的平和な世界。

 魔術の名家メイジー家の3男エセルとして生まれた彼は〘大魔導士〙のジョブを授かり、魔物を討伐する魔法騎士となるべく、幼い頃から英才教育を受けて育つ。

 しかし前世で勉強嫌いだった影響から、初歩的な段階で魔法の道を挫折。

 魔法を学ぶより筋肉を鍛えた方が早いと考え、名家の資産と人脈を活かした最高の環境で、物理特化の肉体派として成長。

 並みいる魔法騎士らの業績を圧倒して最強の名を恣にし、魔法優位の社会を根底から覆した。


 それから数十年後。

 子や孫達に囲まれて大往生した彼は、神様の下へと呼び戻され、すっかり忘れていた使命を果たすべく、次の世界に転生することになる。


 3度目の人生で彼が転生した先は、世界崩壊を目論む魔王の暗躍により、滅びに近付きつつある世界。

 魔術の名家マギーア家の3男シウロとして生まれた彼は再び〘大魔導士〙のジョブを授かり、同年に生まれた勇者に同行して魔王討伐の旅に出るべく、幼い頃から英才教育を受けて育つ。


 ところが、当然ながら転生後の肉体は貧弱な幼児の物。

 剛力も頑丈さも失われたのは勿論、体の感覚が変わり過ぎて普通に動かすことも難しい。

 社会に前世ほどの余裕がない分、国家は貴重な〘大魔導士〙に筋トレ用の食事や設備を与えて才能を無駄にすることを許さず、シウロは苦手な魔術の勉強を強制されてしまう。


 無理な詰め込み教育による脳疲労。

 思考能力が低下した彼は、その非効率性ゆえに失伝した禁術【筋肥大魔法】を復活させることを決意する。

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