敵の数×0.1%だけ能力値が上がるクソ雑魚スキルでVRMMO配信! 大炎上して視聴者全員敵に回したら最強になりました!

 ひょんなことから手に入れたVRデバイス本体とソフトで、話題の新作VRMMORPG『Hundreds of Shadows Online』を始めた女子高校生、羽生陸 恵那美。

 チュートリアル時の言動からAIが最適な固有スキルを設定するシステムにより、彼女は【敵数比例強化:全/微】というスキルを取得した。


 【敵数比例強化:全/微】は、自分に敵意を向ける相手の数×0.1%だけ全能力値が上昇するスキル。

 このゲームで同時にエンカウントする敵はパーティ人数の2倍まで。

 そしてパーティ人数の上限は6人まで。

 全能力値が上がるとは言え、最大で1.2%までしか強化されないハズレスキルだった。


 人気ゲームの動画配信で収益化し、楽してチヤホヤされることが目的だった彼女は、この時点で正統派配信者路線を断念。

 迷惑系配信者プレイヤー・えなちょりとして活動することを決意する。


 各種マナー違反から規約ギリギリのプレイ妨害、騒音公害、風説の流布、魔物虐待、人気NPCへの侮辱行為、詐欺紛い、煽り行為などで地道に活動していた彼女だったが、ある日、コラボ企画で初ログインした有名子役の配信に凸撃したことで状況は一変。

 リアル事情をつついて本気で泣かせてしまい、一気にえなちょりの悪名は知れ渡る。


 一応はゲーム規約を守っている彼女には運営も手出しできず、接触拒否設定の悪用により物理的な排除もできない。

 そこで数人のプレイヤーが、ペナルティを覚悟でPKによる強制送還を試みた。

 しかし、直接対峙する相手だけでなく、周囲のスタッフや一般プレイヤーに、配信を見ていた数万人の視聴者からの敵意も受け取ったえなちょりの全能力値は、元の数十倍に達していたのだ。


 圧倒的な力でPK達を返り討ちにした彼女は、その後も自分の固有スキルがバレないように気を付けつつ、群がる敵を蹴散らし、他人のプレイを妨害し、子役を闇堕ちさせ、アンチを増やし、ゲーム規約変更による規制強化に注意して、ゲームの世界で成り上がってゆく!

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