姉の物を何でも欲しがる妹に婚約者を譲ったら、卒業パーティで男爵令嬢に断罪されて奴隷落ち&家族も連座になったみたいです。まあ私は死んだことになっているので無関係ですが!

 子爵令嬢のアネーシャは、自分の物を何でも欲しがる妹のイモーリヤと、妹を甘やかす両親にうんざりしていた。

 遂には自らの婚約者までをも奪われることになったが、格上の侯爵家に「妹が欲しがったから」などという理由で婚約解消を申し出るわけには行かない。

 アネーシャは戸籍上死んだことにされ、市井で平民として生きていく羽目になる。


 それから3年後、中規模商店の事務職として働いていたアネーシャは、イモーリヤが悪役令嬢の取巻きとして、何やら悪行の片棒を担ぎ、その廉で奴隷身分に落とされるとの噂を耳にする。

 詳しい事情はわからないが、イモーリヤに手を貸した子爵家も取り潰しとなり、両親も鉱山送りになるとのこと。

 由緒ある子爵家がどんな罪を犯せばそんな事態が起きるのか、アネーシャは疑問に思ったが、既に彼女と生家との縁は切れている。

 多少の郷愁はあれど、他人事として日々の労働に従事していた。


 そんなある日、商店の販売職員が集団食中毒で大量欠勤。

 事務職のアネーシャも店頭での接客に駆り出されていた折、店舗に元婚約者のモトコムが来店する。

 驚き声を掛けたモトコムに、その場では「ギメーシャ」と偽名を名乗り、どうにか別人としてごまかしたアネーシャ。


 侯爵子息が来るほどの店でもないのに、元婚約者は何故現れたのか。

 それからも度々来店し、「ギメーシャ」に接客を頼むモトコムに恐怖を感じたアネーシャは、逃亡を図るべく一計を案じる。

 再び、今度は自分自身の意思で、自らの死を偽装するのだ。

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