千年で尾が1本増える妖狐に転生した俺が5億年修行した結果

 神様の不注意で命を落として異世界転生した青年、藻降 茂夫。

 転生先は人類と妖怪が時に共存し、時に相争う世界。

 茂夫は人類に敵対する妖怪の代表格である〈妖狐〉の仔として生を受け、生後半年で独り立ちする。


 〈妖狐〉の寿命は数千年程度と言われるが、千年修行することで尾の数が1本増え、かつて大いに力を増して寿命も延び、8千年もの年月を生き残った者が「九尾の狐」と呼ばれたのだという。


 山深くの地の底で主のいない龍穴を見つけた茂夫は、その直上を縄張りとし、霊気を吸って霊格――レベルを上げてゆく。

 転生者である茂夫はレベルアップ時に、上昇するステータスを自ら選択することができた。

 前世で早死にしたことから、今世では少しでも長生きしようと寿命値に極振りした、その結果――茂夫は5億の齢を数えるも、平凡な中級妖怪程度の力しか持たない、巨大な毛玉と化したのであった。


 その尾の数、実に50万と1本。

 邪魔な尾を隠すため人に化ける妖術を用い、5億年ぶりに見た外界は、妖怪も妖術も存在しないスペースオペラの世界へと成り果てていた。


 茂夫も宇宙に興味はあるものの、狭い宇宙船内でうっかり変化が解ければ、尾の圧力で圧死するか、船が破裂して諸共宇宙の藻屑となってしまうだろう。

 仕方なく、茂夫は惑星内の各地を巡り、その発展や異星文化を呑気に見物する旅に出る。

 大して強くもないけど尻尾だけは多い狐の、日常系SF旅行記。

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