底辺配信者の俺、うっかり配信を切り忘れて実家が財閥なことを知られてしまう。コラボ依頼や企業案件も山程舞い込むけど、メントスコーラはやめられません!

 収益化を目指す配信者(チャンネル登録者数1桁)の大富豪寺 鑫之介は、ある日、サッカー中継画面を無言で垂れ流し、たまにビール缶を開ける音が鳴ったり、選手が派手なプレイを見せると「おー」とか「よっしゃ」とか呟くだけの配信の終了後、うっかり配信アプリを切り忘れてしまう。

 配信が続く鑫之介の部屋へ入ってきたのは、世界的な大財閥の総帥である大富豪寺 鏘之介――鑫之介の父であった。


 その時たまたま鑫之介の配信を視聴していた物好きな視聴者が、たまたま鏘之介の正体に気付いたことで、鑫之介の素性が発覚。

 大富豪寺財閥総帥の長男が運営するチャンネルは、ネットやテレビで大いに話題となり、チャンネル登録者数も同時接続数も爆増。

 有名配信者や大企業からのコラボ案件が押し寄せることに。


 しかし、流行や社会情勢に疎い上、今までコメントやチャットがほとんどつかなかった鑫之介にはそれらを読む習慣もなく、配信の切り忘れと自身の個人情報流出には全く気付いていなかった。

 そもそも財閥関係の諸々は優秀な妹に任せ、父の跡を継ぐ気もない鑫之介は、自分が何かしらの権威や権力を持つ自覚が薄い。

 単に己の配信の魅力が世界に理解されたのだと思い込んだ彼は、現在の方針――雑談にもなっていない雑談配信や、まるで実況できていない実況配信を垂れ流し、時々コーラにメントスを入れたり、輸入品のグミを食べたり、アルミホイルを丸めて叩いたりする方向性を伸ばしていこうと決意する。


 彼を足掛かりに大財閥との繋がりを求めたコラボ相手達は、大財閥の跡取り(ではない)の意向には逆らえず、大いに振り回されてゆく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る