ゲーム初心者の〘錬金術師〙が〈大気〉を素材にしたら、ファンブルして世界から大気が消えました

 ひょんなことから手に入れたVRデバイス本体とソフトで、話題の新作VRMMORPG『Phantom of Blue』を始めた女子高校生、阿鳥 恵。

 種族〈機械人〉、職業〘錬金術師〙のめぐちーとしてゲームを始めた彼女は、チュートリアルの意味もわからず、〈錬金釜〉に何も入れずに錬金操作を連打。

 システムは〈大気〉を調合素材として認識。通常なら魔力不足として内部エラーが出るはずが、錬金コスト不要のチュートリアル中のため、そのまま実行。

 連打の末、低確率で起こるファンブル(大失敗)が発生し、調合素材の〈大気〉がゲーム世界から消失してしまう。


 結果として、プレイヤーもモンスターも、呼吸を必要とする種族は全て窒息死。

 内燃式を除く機械種族、鬼火系を除くアンデッド種族、水中呼吸可能な水棲種族のみを残して、ゲーム内は死の世界と化した。


 一気にレベルの上がっためぐちーだが、チュートリアル担当のNPCも窒息死したことに恐怖を覚える。

 音声による意思疎通もできない世界に困惑し、彼女はゲームを引退した。


 一方、突然ゲーム世界から大気がなくなり、運営へ抗議しても「仕様です」の一言しかなく、告訴しても国営の司法AIは運営側の主張を全面的に認め、泣き寝入りすることになった一般プレイヤー達は、やはりその多くが引退。

 しかし、残されたわずかな物好き達は、この変わり果てた世界に適応するためのキャラリセットを行う。

 かくして、唯一無二の真空世界VRMMORPGが幕を開けたのであった。

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