第2話 イメチェン

 ―紬。紹介するよ。こちらは彼女の……

「だめー!」

 あれ?夢?はぁ、最悪な夢だったな……

 紬は朝食を食べ、身支度をして、何気なくスマホを見ると拓也からメールが送られていた。

『ごめん。今日は先に学校に行ってて』

 何かあったのかな?寝坊したとか?拓也にしては珍しいな。

 そんなことを考えながら、紬は1人で学校へ向かった。

「紬。おはよう」

「由依ちゃん。おはよう」

「あれ?今日は一緒じゃないの?」

「うん。なんか『先に行ってて』ってメールできてて」

「珍しいね。もしかして、彼女ができた、とか?」

「やめてよ。でも、彼女できたのかな?へこむな……」

「元気だしなよ!私がいるから……」

 由依の言葉を遮るかのように廊下が騒がしくなった。2人は廊下に出てみると、遠くから見たことのないイケメンが歩いて来ていた。

「ちょっと、あれ誰?転校生かな?」

「たく、や?」

「えっ、嘘!紬、見間違えてない?」

 毎日見てるんだもん。見間違えるはずかない。

「おはよう。紬。今日一緒に行けなくてごめんな。ちょっと、準備に時間がかかって……」

「拓也、だよね?おはよう。どうしたのその格好」

「えっと、イメチェン、してみた」

 拓也は照れながら言った。

 拓也の反応が可愛いくて、紬は思わずくすっと笑ってしまった。

「何で笑ったの?やっぱり変かな?」

「変じゃないよ。似合ってる」

「良かった。ちょっと不安で……ところで今日放課後予定ある?」

「ないよ。どうしたの?」

「えっと、少し教室に残ってて」

 どうしたんだろう?

「……いいよ」

「良かった。じゃあ、放課後にな」

「うん」

 紬は拓也の行動の意味をずっと考えていたら、あっという間に放課後になっていた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る