「学園1の美少女【雪姫】と付き合ってるなんてウソだよね!?」と王子さま系元カノが泣きながら僕に謝ってくるけどもう遅い~僕を溺愛するJKと楽しく暮らしてるので今更ヨリを戻すつもりはありません~
第6話 まずは友達から始めるつもりが、一瞬で距離詰めてきた
第6話 まずは友達から始めるつもりが、一瞬で距離詰めてきた
通学途中、元カノの
その結果、めちゃくちゃ目立つことになった……。
同級生の
僕らの通ってる、私立アルピコ学園。
JR高輪ゲートウェイから徒歩数分、
となりに忠臣蔵で有名なお寺さんがある。
ここに、僕も犀川さんも……あと元カノの
アルピコはスポーツに力を入れてる関係で、体育館がいくつもある。
校舎から離れた位置にある、体育館、その裏手にて。
「……大丈夫だった、村井くん」
「うん……ありがとう、犀川さん。助けてくれて」
あのままヒートアップしていたら、ぜったいにロクデモナイことになっていた……。
「ごめん。
「…………」ぴくっ。
「あいつ、昔から熱くなると、ちょっと周りが見えなくなるタイプで……って、どうしたの?」
少しだけ、犀川さんが不愉快そうに顔をゆがめたような……。
でも、すぐに普段のクールな表情に戻っていた。
「……よく知ってるのね。
「そりゃまあ……
「……名前呼び」
「え?」
犀川さんが近づいてきた。
あまりに急だったので、僕はあとずさりしてしまう。
って、背後は壁だった。
ドンッ……!
「か、壁ドン……」
犀川さんの、と、整ったお顔が直ぐ近くにっ!
異国の血がまじってるのかな。
目が……青く澄んでて、きれいだ。
大きくて、まるで宝石のような瞳……。
思わず吸い込まれそうになる……って、近い!
「近いよ、犀川さん……!」
「……嫌?」
「え、あ、離れてもらえると……」
「……いいよ。でもじゃあ代わりにお願い聞いて欲しい」
「お、お願い……?」
こくん、と犀川さんはうなずく。
動いたら、ふわ……とイイ匂いがした……。
て、てゆーか、ほぼ密着してるから、お、おっぱいが当たってるよ……!
ややや、やわらっくて、おおっきいよ!(ラップ調)
「……名前で呼んで」
「な、名前……?」
「……そう。人前じゃなくて、二人きりの時だけでイイから」
名前呼びって……そんなほぼ初対面なのに……。
「……駄目?」
「あ、いや……」
「…………」しゅん。
「あう、うん! いいよ、名前で呼ぶよ!」
さっき助けてもらった借りもあるし……。
それに……そうだ。
看病してもらったことの、お礼もまだだった!
いろんなことが矢継ぎ早に起きてて、言いそびれちゃってた……失礼すぎるだろ僕……。
「じゃあ……その、
「……姫子だけでいい」
「う、うん……じゃあ、姫子さん」
「……さんも不要」
距離の詰め方がバグってないだろうか……。
「姫子。どいてくれない?」
「……ん。いいよ」
すっ……と犀川さんが僕からどいてくれる。
よかった……。といえばいいのか、残念といえばいいのか……。
いや、それはまあいいんだ。
ちゃんとお礼を言っておかないと。
「あのさ、姫子。遅くなったけど、看病してくれてありがとう」
「…………」
クールな表情が、崩れる。
目を大きくむいて、ぽかんと口を開くその姿は、なんだか普通の女の子みたいでかわいらしかった。
「風邪引いて心細かったんだ。だから……側に居て、色々世話焼いてくれて、うれしかった。ありがとう、姫子」
「…………」
「姫子?」
くるっ、と姫子が背中を向けて、しゃがみ込んでしまった。
「……笑顔が可愛すぎるはー好き好き好き好き♡」
「え、なに?」
「……なんでもない」
すくっ、と立ち上がってこちらを見る。
いつものクールな表情になっていた。
「……お礼なんて要らないよ。私、あなたに救われたから」
「救われたって……?」
僕何かしたっけ……?
「……そう、謙虚なのね。そういうところも、とても素敵よ」
「いや謙虚っていうか……」
まじで何したっけ僕……?
「……とにかく、私はあなたに救われた。とても感謝してる。この恩は一生かけて返すつもりよ」
「いや、大げさすぎでしょ!?」
「……あなたにとっては些事なことでも、私にとっては……とても大きなことだったの」
すっ、とまた姫子が顔を近づけてくる!
「……私、尽くすタイプなの」
「と、突然のカミングアウト……」
「……あなたが嫌がることはしたくない。でもあなたの側にずっと居たい。あなたに恩を返したい」
「だ、だから恋人に、ってこと?」
こくん、とうなずく姫子。
恋人宣言はそういうことだったんだ……。
「いいって、恩なんて返さなくて。普通で良いよ」
「……普通」
「うん。普通で。急に恋人とか……おかしいでしょ? ね? まだお互いのこと、何もわかってないんだから」
それに元カノと別れたばっかりで、まだ誰かと付き合うとか、考える気に当分なれないし……。
「……そう。あなたは、本当に優しくて、いい人ね」
「いや、普通だよ、普通……」
「……そんな普通が、とても心地良い。みんな私のこと、特別扱いして、息が詰まる」
そっか……。
犀川さん、たしか凄いお金持ちだって聞いたことがある。
名家のお嬢さんなんだって。
そのうえ、この美貌だ。
みんな、すごい彼女のことを、高嶺の花だと思って近づかない……。
「……でもあなたはちがった。私に打算なしで、普通に、優しくしてくれた。こんなふうに接してくれたの、あなたが初めて。凄く優しくて……だから、好き」
……正直、こんな美少女に好きって言われて、好意をむけられて、嫌な気持ちにはならない。
でも……僕の考えは変わらない。
だからといって、はい付き合いましょう、とはなれない。
「ごめんね。まだ君のこと、何も知らないから、答えられないよ」
「……それでいい」
「それで、いい?」
「……ええ。これから、知ってもらえれば、それでいい。私があなたを好きな気持ちは変わらない」
犀川さんは近づいてきて、僕に手を差しのばしてくる。
「……改めて、犀川姫子です。あなたと……まずはお友達に、なりたい、です」
無表情に見えて、彼女の額に汗が浮かんでいた。
緊張してるんだろう。……友達から、か。
そうだよね。
うん。
「村井健太です。まずは……じゃあ友達から、よろしく」
僕らは手をつなぐ。
すると姫子は……微笑んだ。
「!」
姫子が笑ってるとこなんて、初めて見た……。
いや、まだ同じクラスになって一ヶ月程度だけども……。
へえ……笑うと、すごい美人だなぁ……。
「……どうしたの?」
「あ、いや……別に……。その、よろしくね」
「……ええ」
こうして僕と姫子は、まずは友達から始めることになったのだった……………………が。
☆
ぴんぽーん。
「……隣に引っ越してきた、
「え? ひ、引っ越し!? 隣!?」
「……ええ、よろしく」
僕んちの右隣には、元カノの
たしか左隣は空き部屋だったけど……!
「……これから家でもクラスでも、お隣さんだね♡ よろしく……ね♡ ふふ……♡ ぜったいに逃がさないから……♡」
姫子が微笑んでいた。
でもその微笑みは……なんだか、その……ちょっと、いやだいぶ恐かったのだった……!
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