デート?⑥

触れ合いコーナーを離れ、お土産を買いに行く。お土産売り場には、キーホルダーやぬいぐるみ、水族館に因んだお菓子等がある。


「お母さんとお父さんのお土産、何がいいかな?」


「こういうキーホルダーとかでいいだろ。」


近くにあった、キーホルダーを手に取って言った。すると、海結に疑惑の目を向けられた。


「適当に選んでない?」


「そんな訳なくも無いけど...」


「ちゃんと選ばないとダメだよ。」


ちょっとめんどくさいだけとは言わない。とはいえ、なにを買って帰ればいいのか分からない。


「こういうのどうかな?」


そう言って、見せてきたのは、イルカとペンギンのぬいぐるみだった。


「それ、海結が欲しいだけだろ。」


「えっ!?な、なんの事かな?」


完全に図星だ。ぬいぐるみは後で買ってあげるとして、真剣に考えないと、このままだと永遠に決まらない。


「やっぱり、キーホルダーとか、ハンカチとかが無難な気がするけどな。」


「そうだね。」


結局、イルカや、ペンギン、クラゲみたいな水族館の主役級の生き物が入っている、キーホルダーとハンカチを購入した。


丁度時間も来たので、水族館を後にしようとしたところで、忘れ物をしたことに気づいた。


「あっ!」


「どうしたの?」


「忘れ物したからちょっと待っててくれ。」


「私も行くよ。」


「十分くらいで戻るから。」


海結の返事を待たずにその場を離れる。着いて来たがってたけど、こちらとしてはいない方が都合が良い。

しかし、あまり待たせるのも良くないので、なるべく急いで歩いて、その場所に到着した。


忘れ物を取りに戻って、十分程で帰ってくることが出来た。


「忘れ物大丈夫だった?」


「ああ、なんとかな。」


「あれ?その袋どうしたの?」


すると、忘れ物を取りに戻った時には持っていなかった大きい袋に気がついた。

その袋を「忘れ物だぞ。」と言って手渡す。袋の中身を見た海結が、驚いて目を見開く。


「忘れ物ってこれのこと?」


「海結が欲しがってたからな。」


「でも、お金...」


「そういう事は、気にしない。俺が、買ってあげたくて買っただけだから、プレゼントだとでも思ってくれ。」


袋の中身はイルカとペンギンのぬいぐるみだ。紗季さんから貰ったお金だけだと足りなかったから、少しだけ自腹だけど、海結が嬉しそうなので問題ない。


「ありがとう!大切にするね!」


「どう致しまして。」


今度こそ名残惜しいが水族館を後にする。その帰り道、駅までの道も、電車に乗っていても、バスに乗っていても、自然と手を繋いだままだった。

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