デート?③
お昼ご飯を食べに、水族館の敷地内にあるフードコートに来た。ハンバーカーやラーメン、カレーなど選り取りみどりだ。
少し早めに来た甲斐もあって、まだそんなに混みあっていなかった。とりあえず空いている席をとって俺がラーメン、海結がカレーを注文をしに行く。
注文を終えて、席に戻る。
「イルカショーって何時からだっけ?」
入場時に貰ったパンフレットから時間帯を探す。
「えーっと、十四時二十分から四十分までのところで行くのがいいと思う。」
「じゃあ、その時間にしよう。」
注文した料理を受け取りに行って、席に戻り一緒に食べ始める。
「イルカショー楽しみだね。」
「イルカショーも楽しみだけど、早くサメが見たい。」
小学校の遠足で水族館に来た時、サメのいる水槽の前にずっと居て先生に怒られた記憶がある。
「サメ好きなんだ。」
「うん。かっこいいからな。」
「クリオネとサメだと、どっちが好き。」
「サメの方が好き。」
特に詳しい訳でも無いけど、サメだけは子供の頃から変わらず好きだ。
「そこは、お前が一番好きだ。って言うところだよ。」
きゃー、と自作自演で照れてる。今の会話を聞かれてたらカップルだと思われるんだろう。
「はいはい。馬鹿なこと言ってないで、早く食べなさい。」
海結もご飯を食べ終えて、お皿を下げたので出発する。人が混み合う前に、海結の前に手を差し出す。
「なに?その手。」
「いや、はぐれると危ないからさ。」
なんのことか分からずにキョトンとする海結だったが、意味が分かるといつもからかってくる時の表情に変わった。
「ふーん。私と手繋ぎたいんだ。」
最近は受け流すという術を覚えたので、恥ずかしい思いをすることは減ったが、やられっぱなしも気分が悪いのでいつもの意趣返しとして反撃する。
「そうだよ。だからほらっ。」
そう言うと、恥ずかしそうに手を伸ばしてきたので、海結の手が触れる前に、俺の手を引っ込める。
「俺と手を繋ぎたいんだ。」
「っ〜!もういいっ!」
「待って!」
からかわれて悔しかったのか、恥ずかしかったのか、怒って先に行ってしまったので、追いかける。なんとか 追いついて、海結の手を握る。
「からかって悪かったって。海結と手が繋ぎたいから、このまま見た回ろっか。」
「しょうがないね。私も翔太くんと手繋ぎたいからこのまま見て回ってあげる。」
その瞬間、あれだけの人が全員居なくなって、世界に俺と海結の二人だけしかいない気がした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます