日常②
家に帰ってからは、特にすることも無くダラダラと過ごした。夜になって昨日に引き続き海結とリビングで話をしている。
「同じ学校の二つ上の覡先輩って知ってる?」
「覡先輩?知らないよ。」
まあ、流石に知らないか。中学だと全校生徒に知られてて面倒そうだったから良かったとも言える。
「その、覡先輩?がどうしたの?」
不思議に思ったのか問い詰められる。
「先輩とバイト先が一緒で、姉ができたって口を滑らしてな。」
すると、何故か目を輝かせだした海結が居た。
「翔太くんが...翔太くんが私を姉と認めてくれた。」
そして、肩を震わせながら呟いている。別に認めたわけでは無くて、単純にめんどくさいだからそれでもいいかな?と思っただけだったりする。
「覡さんか〜。久しぶりに聞いたな。」
親父が会話に割り込んできた。
「久しぶりに道場に行ってみたらどうだ?」
絶対に嫌だ。首を横に振って無言の抵抗を試みるも失敗に終わる。原因はいつだって大体コイツだ。
「道場!柔道?空手?それとも剣道?」
「空手だよ。翔太も空手やってたんだよな。」
「そうなの?」
「ちょっとだけだけどな。」
中学校三年間で一度も先輩に勝てたことがないし、大会にも真剣に出たことが無いからどれだけ強いのかが分からない。一応黒帯だが実は取るのはそう難しくないため、実力の指標にはならないんだ。
「翔太くん。私、道場に行きたい!」
「俺は行きたくない。」
道場に行ったら先生に扱かれる未来がはっきり見える。特に先輩のお父さん。あの人怖いんだよなぁ。なんか俺にだけ厳しい気がするし。
「ダメ...かな?」
上目遣いを披露してきた。
「...分かったよ。今度先輩に聞いといてやる。」
やった〜と大喜びする海結。上目遣いに釣られたわけではない。ただ、ちょっとだけ可愛いと思った。
「ところで、覡先輩ってどんな人?」
「男子よりイケメンで頼りになる人。それで、性格は男勝りで、髪形はポニーテールだな。」
「ん?...男子よりってどういうこと?覡先輩って女性なの?」
またおもわぬ地雷を踏んでしまっらしい。口角は上がってるけど、目が笑っていない。
「そうだけど...」
必死に言い訳を考えるも何も思い付かない。甘んじて受け入れよう。そう思ったとき、
「冗談だよ。」
と、言われた。タチの悪い冗談はやめて欲しい。
「そうか。じゃあ俺はそろそろ寝るから。おやすみ。」
とても冗談とは思えない圧を感じたので、早めに撤退することにする。
「おやすみ〜。」
これで今日一日の幕は閉じた。
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