第5話 地上に降りたハインリッヒの報告
地上で何があったかは、ハインリッヒが報告してきた。ハインリッヒは、急降下したルートヴィッヒを追い地上に降りたった。
ルートヴィッヒはゲオルグの手当てをし、降りてきた同期のハインリッヒにゲオルグを託した。
「ハーゲス、卑怯者の首を狩るから手伝って欲しい」
ハインリッヒがルートヴィッヒの声に振り返ったときには、ルートヴィッヒはすでに飛び立ったあとだった。
ハインリッヒは負傷したゲオルグを隠すため、上空から見えない枝葉の多い位置に移動したから、上空で何があったかを、全く見ていなかった。
「次に私が見た時にはルートヴィッヒは、返り血を浴びて、見慣れない竜を連れていました」
アルノルトは部隊を集め、地上で、ルートヴィッヒ、ハインリッヒ、ゲオルグの三人に合流した。
「好きなところへお行き」
ルートヴィッヒは、乗り手を喪った南の隣国の竜の手綱や鞍を外し、意識のないゲオルグをハーゲスに括り付けた。
アルノルトは、最も速く飛ぶ竜に乗る竜騎士を、南方竜騎士団の砦へ重症の怪我人が行くという伝令のため、先に出発させた。
ルートヴィッヒはゲオルグを括りつけられたハーゲスに跨り飛んだ。その後ろをトールが飛んだ。トールの後ろを、乗り手を喪った南の竜達が、なぜかついて来た。
単なる訓練のはずが、指揮権を持つゲオルグが重傷を負った状態で、敵国の竜を五頭もつれてきた若手達への風当たりは強かった。
南方竜騎士団の団長は、戻ってきた若手から理由も何も聞かずに、ゲオルグを縛り付けていた縄を解いていたルートヴィヒを殴り、軍規違反だと詰った。ルートヴィッヒは謝罪し、それ以上は何も言わず、ゲオルグを部屋へ運ぶため、他の若手に協力を頼んだだけだったという。
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