第4話 飛んでいたアルノルトの報告

 空中ですでに、ゲオルグは意識を失っていた。


 次世代の幹部にと思い、南方竜騎士団所属にしていたアルノルトが、よい働きをした。アルノルトは何があったかを、正確に報告してきた。


 真っ先に動いたのは、ルートヴィッヒだったという報告に、ゲオルグはやはりと思った。

「アルノルト、指揮を執れ! 」

墜落していくゲオルグを追い、急降下しながら叫んだルートヴィッヒの声で、アルノルトは我に返った。


 指揮権を持つゲオルグの墜落に動揺する部隊を叱咤し、立て直した。侵入してきた敵部隊への反攻に転じた。劣勢から持ち直し始めたとき、突然、竜が一頭、敵部隊の陣形を突き破るように上昇してきた。陣形を崩した竜に隠れるように、上昇してきた二頭目の竜の背に、王都竜騎士団団長の兜を被った竜騎士が乗っており、敵の団長を仕留めた。


 敵の団長が、手にしていた大鎌を振る間もない、一瞬の出来事だったという。王都竜騎士団団長の兜を被った竜騎士は、自らが駆る騎竜だけでなく、無人の竜も自在に操り、敵軍に反撃をさせなかった。情け容赦なく、周囲の竜騎士を倒し、威圧し、退却を迫った。一瞬で、団長を含め数人を失った敵部隊は、退却していった。


 敵も驚いただろう。部隊のど真ん中を貫くように、誰も背に乗せていない竜が上昇し、陣形を崩され、続いて現れたたった一騎の竜騎士に、わずかな間で団長を含め数人が殺されたのだから、戦意を喪失したとしても不思議はない。


 突然現れた竜騎士は、敵が退却したのを確認すると、地上へと急降下したという。

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