第9話
魔法というのは実に凄い。
現実的とイコが言っていたが、俺からしたら魔法は夢のようなものだ。
「雨降りすぎだろ」
「こんなに降ってたことってあったっけ」
俺の記憶には無い。
記録的な大雨のはずだ。
「しかし魔法って凄いな」
「ボクの魔法は暑いときには役に立たないけど雨とか寒さには便利だからね」
雨で畑がぐずぐずにならないように火球で畑を乾かしている。
一家に一人はイコがいれば雨季の畑仕事も大助かりである。
「村全体を乾かしたりとかできないのか」
「村が全焼してもいいのならすぐに出来るよ」
やはり都合よくはいかないらしい。
乾かすために全焼とかリスクがでかすぎる。
「税の徴収がきたんだがな」
「そういえば来てたね、この雨の中。ここって外周だから凄いと思うよ、人間の欲って無限大だね」
雨だから魔物も活動を控えていていつもよりは楽だったらしい。
村の状態を見て周っていた。
「廃村決定だとさ 国から切り捨てるので自由にしていいって言われてしまった」
「どうしようもないって感じだもんね。とうとう独立したってことかな」
国公認で独立した村とかここだけかもしれない。
もしかしたら俺は村長という名の王……無いな。
「独立というか捨てられただけだな。今までと変わらないだろ」
「税を取られないとか、廃村認定だから人が来なくなるとか色々あるけどね」
商人が来なくなるのは困る。
そのうち買い出しに出なければならないだろう。
「薬草を収穫したら売りに中央まで行ってみるか」
「いいかもしれないね。中央を見てみるのも面白いかも」
薬草の収穫まではまだかかるのだ。
じっくりと時間をかけても文句を言う人はいない。
「イコは俺を否定しないから独裁者になりそうだ」
「それも面白いかもね。望むならボクを好きにしてもいいよ」
にこにこしながら言うことではないと思う。
毒気が抜かれてしまった。
「あー、まあ、そのうちな」
「そのうちしてくれるんだね。楽しみだな」
もうなんとでも言うがいい。
恥ずかしいやつめ。?
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