第2話 秋斗と包丁
そうだ、殺そう。
誰を?あいつを。
姉ちゃんとふたりで、知らないどこかへ。
包丁を持った。やっぱり震えちゃう。
でもやらないと、姉ちゃんを救うんだ。
いっつも想像だけでやってたけど、遂にやるんだ。
もう三時だ、よくよく考えたら子供がいるのに飯もつくらないで関係無く寝るこいつ、最低だったな。
でも、この、ひとつきで終わるんだ。
今は寝てる、今は寝てるから今ならきっといけるよ!
父親の腹に包丁を突き立てた途端、姉ちゃんが止めようとして来た。
「こんな事したら、秋斗もお父さんみたいになっちゃうよ」
俺の頭ん中にぐちゃぐちゃが通り過ぎる。
でも、でもやらないと。
そう葛藤してる間にあいつが起きた。
あいつが起きた!
今迄に無いほど大きな声で!おきあがった!
ぎょろりとした眼で睨んできた!
俺は包丁を手放してしまった、震えが止まらない。
止まらない。止まらない。止まらない。
今にも泣きそうになってる。涙が、目頭が熱く熱くなってきてる。
蝉の声が窓越しにうるさくなってくる。
姉ちゃん逃げて、いやたすけて。
たすけて!
あいつが包丁を持った!
どうしよう。腰が、腰が抜けちゃったかも知れない。動けない。
やめて、たすけて。
たすけて!
「たすけて!」
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