空白の世界
くりおね。
第1話 父親と姉
夏はじめの昼下がり。
俺は今日も家であいつに殴られていた。
憎い憎い親の面をしたあいつ。
今日も姉ちゃんが心配そうに何も出来ないで立っている。仲裁もしないで立っている。
しない方が良いのは分かってるし、本来なら俺が守らないといけないのに。
姉ちゃんに心配しないでと言ったら、更にあいつに殴られた。
「やっぱりお前は頭がおかしい」って。
頭がおかしいのはお前なのに。
飲みかけの空き缶、ポリ袋が散らばる床に勢い良く倒れ込んだ。
するとあいつは拳を止めた。
どうやらあいつの気が済んだらしい。
もっと殴られるところだったはずが、今日は飲みすぎたようだ。
そのまま寝室に文句を言いながらあいつは寝に行った。
姉ちゃんはすぐさま俺の顔に駆け寄ってハンカチで血を拭ってくれた。
「今日もよく頑張ったね。」って褒めてくれた。
いつも涙が零れ落ちそうになるけど、今日は耐えられた。
蝉の声が聞こえる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます