第21話
美咲は淡々とした声で亮平に話しかけた。
「亮平、おへその開き具合はまだまだだよ。陣痛が進んでからおへその開き具合も変わる。落ち着いて耐えて。」
亮平はうなずきながらも、痛みに顔をしかめた。早苗は一緒に深呼吸を繰り返し、痛みの波を乗り越えるためのサポートをし続けた。その傍らで、美咲は専門的な視点からその様子を見守り、必要なアドバイスを提供し続けた。
陣痛は時間と共に激しさを増していく。しかし、亮平は美咲の指導のもと、痛みを受け止める姿勢を保った。時には涙を流しながらも、彼のおへそは徐々に大きく開いていった。
「おへそ、開き始めたね。」美咲の声は静かだが、その中には確信と安堵が混ざっていた。
これから始まる出産の進行に、亮平は改めて覚悟を固めた。その一方で、早苗と美咲もまた、全力で彼をサポートする決意を新たにした。
「ああっ、ううっ...」亮平のうめき声が部屋に響き渡った。彼のおへそは痛みに合わせてゆっくりと開いていく様子が見えたが、それはまだ出産には至らない程度だった。
早苗は彼の手を強く握り、一緒に呼吸を整えることで支えていた。「深呼吸、深呼吸。耐えて、亮平。」その声には励ましと同時に、少なからず自身の不安も含まれていた。
美咲は亮平の痛みには手を出せず、ただ時を待つしかなかった。しかし、彼女の顔色は冷静さを保ちつつも、心中はどうだろうと亮平は考えた。美咲は自分の姉を、亮平を、その赤ちゃんを見守ってきた。彼女の中にも、きっと亮平や早苗と同じような感情があるのだろう。
「ほら、亮平、陣痛が来たら声を出してもいいんだよ。」美咲の言葉に、亮平はただただ頷いた。そして、再び痛みが波となって襲いかかってきたとき、彼は力いっぱいに声をあげた。
そして、時間はゆっくりと、しかし確実に過ぎていった。陣痛はますます厳しさを増し、亮平のおへそはそれに応じて、少しずつだが着実に開いていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます