第126話益州攻略 その1

「フゥーハハハ!呉は内部崩壊で自壊するでしょう。究極的に言えば、私と孫権の寿命合戦であってもかまいません。天下統一の最後に廻しても良いです。なので次は益州を取り、そしてそこから高祖のように北伐を開始し、魏を打ち破り天下を併呑しましょう!」

 劉操のもとには蜀、そして呉を支える予定であった人材が綺羅星の如く集まって来ている。

 これらを活用すれば劉備・・が天下統一することも可能であろう。


「劉操、恐ろしい子……」

 劉備は今まで影が薄かった自分の嫡子がここまでの謀略の才能を持っているとは思わなかった。

 今までの運命に翻弄されるだけの劉操はなんだったのだ?まさか自分の後嗣がここまでとは……


「父上!」

 劉操の問いかけに劉備はハッとする。


「父上が私を何度も捨ててくださったおかげで私は多少知恵が廻るようになりました。若い頃の苦労は買ってでもしろとはいいますが、私は本当に苦労の連続でした。父に捨てられ、呂布に鞭打たれ、実母を失い、また父に捨てられ、父に馬を盗まれ、放火犯の片棒を担ぎ、さらに父に捨てられ、終の棲家である新野も焼け落ち、流浪し、呉で命を狙われ……」

 劉操の独白とも言える物言いに劉備は、

――あれ?わし、恨まれてる?、といまさらながら思ったのであった。




「しかしその苦労は無駄ではなかったのです!私は苦労の連続で生き延びることを覚えました。劉玄徳の嫡子として平穏に生き延びる。それは天下統一し、外敵をすべてなくすことだということに気付いたからなのです!」

「お、おう……」

 劉備は剣幕に押されてそう応えざるを得ない。




「次は益州です!ここを取り北進し、涼州・関中を取って河北を平定し、混乱に陥った呉を併呑し天下統一。これにより第三の漢王朝が興りましょう!」


「実は張松ちょうしょうと申す者が、私に益州を献じたいと申して面会を求めて参った」

「そうでしょう!ちょっと展開が早いとは思いますがもう歴史の流れはそんな感じなのですね!」

 我が意を得たり!と劉操はニッコリと微笑む。


「では早速ではありますが、その張松と私も面会し益州攻めをいたしましょう」

「お、おい操。君主は私なのだぞ。そう勝手に物事を進めるな」




「今日は張飛と酒を酌み交わして、本音をぶつけ合いたい気分だ!」

 その言葉に劉備はピクっと反応して

「よ、よい。そなたの好きにせい……」

 と悪夢を思い出したかのように震えだし、劉操の行動を黙認することにした。

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