第80話小覇王誕生
「若殿、城門が開きましたぞ」
「おお、この機を逃さず突っ込め!」
そういうや否や孫策はみずからが一番槍となって突進していった。
張英は兵を見捨てて慌てて逃げていった。
孫策は不思議である。
「しかしいったいだれが俺に味方してくれたのだ」
「矢を討つな、俺たちは味方だ!いまそちらへあいさつにいく!」
すると出て来たのは賊であった。
「孫将軍でございますか」
「そうだ、お前たちはなにものだ」
「はいこのあたりの湖を根城とする賊でござい
「なんと俺の味方をするものが賊であったとは」
孫策は心底驚いた。
「はい、長江に出入りする船を襲って日銭を稼いでおります」
「しかしその賊がまた何で俺の味方をしようとするのか」
「はいそれなんですが……」
湖賊は憧憬のまなざしを込めて言った。
「私たちも長江狭しと暴れまわっていた孫堅将軍を心から尊敬しておりました。そして今度やって来るのがその孫堅将軍のお子様だと聞きました。孫堅将軍の子供ならひとかどの人物に違いない、これは征伐されてはたまらない。賊稼業も終わりにして孫伯符さまの家来になって『真人間』としてこれからは生きていこうと思いまして。でも手ぶらでは家来にしてもらえるかわからない。そこで何か手柄を立てようとこの要塞に忍び込んでいたのです」
「ほう、賊ごときが殊勝な心掛けよ」
孫策は尊大である。
「よろしい、正直さが気に入った。我が家来にしてやろう」
「ははっ、ありがとうございます!」
ここで孫策の味方になったのが孫呉を代表とする武将になる
「変わった男たちでございますな」
「ふふふ、そうだな」
孫策は上機嫌である。
「父の威光がまだ生きていようとは思わなんだ」
そこへ残った敵兵が降伏総降伏を申し込んできた。
「孫将軍は賊をも家来にしたと聞き及んでおります。どうか我らにもそのご慈悲の一端をくださいませ」
「それはまかりならん!」
孫策の顔が一瞬でこわばった。
「この孫策が来ると聞きすぐに降伏すればよかったのだ。敵対した者が、いまさら慈悲を乞うとは貴様らが味方になっても頼りにならん。また何かあれば俺の敵となるだけであろう」
そういって孫策は残った敵兵を一人残らず
生き残った者たちは
江東の人にとって覇王・項羽は英雄であり、項羽の足元にも及ばないちっぽけな存在と孫策には蔑称として付けられており
それでも『覇王』という名を付けられたということは孫策の
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます