第81話連勝

 素直に従えば厚く遇してくれるが、少しでも逆らうと孫策は容赦がなかった。

 あなうめはその手始めにすぎない。


 基本的に歓迎すれば善政を敷いたが、反抗した城のあとには蟻すら見かけなくなった。

『策来策来』(孫策がやって来るぞ)と聴けば江東こうとうの子供たちは泣き止んだほどである。

 彼は某世紀末覇者の如く力で江東をねじ伏せた。

 まさしく小覇王の名に恥じない働きであった。




 太史慈たいしじあざな子義しぎという者がいた。

 孫策の軍を偵察中に、ひとりで先行していた孫策と遭遇し一騎打ちをした。

 しかし勝負は互角で太史慈は武器を、孫策は兜を奪われた。

 劉繇が敗退した後も異民族を味方につけて抵抗し続けたが、ついにはとりことなった。


 だれもが敵となった太史慈を孫策は斬るであろうと思ったが、孫策はみずから縄をほどいた。

 太史慈は、

「このままやっていてもあなたは真の覇者とはなれない。散り散りになった劉繇の部下をまとめてこそ真の英雄といえるのではないですか」

 と、言った。孫策はそれに従った。

 孫策は自分と一騎打ちで互角であった太史慈を自分と同様の者と認識したのだ。


 孫策はそれを機に一気に江東を席巻した。

 しかしそれまで張昭やら張紘は何を進言していたのだろう?作者も描いていて不思議である。


 結果として、揚州は孫策の大虐殺により人口を激減させながらも、彼のものとなった。

 孫策は名実ともに江東の小覇王となったのである。




 しかしながら、孫策が一国の主としてはあまりにも恨みを買いすぎてしまったのも事実であった。

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