第6話

週末、りょうが泊まりに来た。

この週はお互いに仕事がハードで、

お風呂に入る前に二人とも寝てしまっていた。



明け方、私の方が早く目が覚めて

お風呂を沸かしたり食事の片づけをしたり。

その物音でりょうが起きた。



「りょうくん、おはよ。

 今お風呂沸かしてるところだけど、りょうくんも入る?」



「うん…一緒に入る」



「じゃあお風呂沸けたら、また声かけるね」




寝ぼけ眼でのやりとり。







少し経ち、アナウンス音が

お風呂が沸けたことを知らせた。





「りょうくーん、お風呂沸けたよ。

 入ろ~。」





「うーん…

 すぐ行くから、ひなちゃん先に入って髪洗ったりしときなよ。

 いろいろ終わったら、呼び出し音ならして教えて」




「わかった!

 じゃあ先にいってるね」






私が先にお風呂に入って、少ししたらりょうが入ってくる。

それはいつもと変わらないことだった。

いつもと同じことだった。





お風呂に入って、髪を洗ったり、体を洗ったり、マッサージをしたり…

ゆっくり自分の時間を過ごした後、呼び出し音をならしてりょうのことを呼んだ。










何度かならしてみたけど、来る気配なし…







(また寝ちゃったかな?)








少し待ってから、今度はお風呂のドアを開けて直接呼んでみた






「りょうくーん!

 お風呂沸けてるよー!

 入るー?

 もっと寝るなら、私先にあがるよー」





すると




「今起きた!

 すぐ行く!そのまま待ってて!」






(やっぱ寝てた。でも起きたから待ってよ。)






湯船に浸かりながら、

りょうが来るのを待っていた。





でも、来ない…




お風呂は好きだからよく長風呂はするんだけど、

そういうときはお風呂で水分をとりながら入ってる。

今日は何も持ってきてない。

そろそろ逆上せそう…





もう一回呼び出し音をならして、

来なかったらもうあがろう。

逆上せて倒れちゃうよ…






何度か呼んでみた。


でも来なかった。





疲れてるんだよね。

疲れてるときはたくさん寝て休むのが一番だから、

ゆっくりするのは良いんだよ。

たくさん寝ることはいいんだよ。



でも、それなら

「一緒に入る」とか

「すぐ行く」「待ってて」とか

言わなければいいのに。




一人でお風呂に入るって分かっていたら、

水分を持っていったり

本を持っていったりして

自分のリラックスタイムにしたんだけどな。







ちょっとモヤモヤした気持ちは残ったけど、

まぁそういう日もあるよね。



一緒の時間を過ごせることが嬉しいから…

気にしないようにしよ。










お風呂からあがって、出かける時間までまだ結構あったからテレビを見たりベッドでゴロゴロしたりすることにした。





そしたら、

いつの間にか寝ちゃってたみたい。








りょうが家を出る時間になった。







「ひなちゃん、俺そろそろ行くね。」


声をかけてくれたみたいなんだけど、

私はなかなか起きることができずに

玄関までお見送りができなかった。




(私だって、疲れてるもん)











しばらく時間が経って、りょうからのライン。



[家出るときに声かけたのに、

なんで起きてくれなかったの?

お見送りしてほしかったよ]





きっとりょうは、

「お見送りできなくてごめんね」

って返してほしかったんだと思う。





でも、

私はそのラインに反発してしまった。









[何回起こしても起きてくれなかったのに、

それで私体調悪くなってたのに、

私は一回起きれなかっただけで、そうやって言われちゃうんだね]






私の、その反発が、はじまり

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