第6話青い満月

  

 絨毯の飲酒乗りは良くない。


 ジンは返却された絨毯を無事に店に戻した後、だいぶ暗くなりだした街に再び出て、ハシゴするつもりだ…、、


 いつもなら毎日のように通ってたスルタン・リマッハの酒場にも寄るはずが今日はもう、マスカとは会いたくなかった…あの夜と同じく青い満月が顔を出しそうで妙に気味が悪いから。


 普通の人々がいる飲み街で何軒かをハシゴしたジンは段々人影も光も無くなった静かな曲がり角で曲がらず立ち止まった、


「俺は自由だー!まだまだ俺のバカンスは続く〜」と叫び出した、

 まだまだ…⁈ジンはご主人様が寝てからどのぐらい時間がたったのか数えてみた、

2012年からだから、いま2022年になったばかり…

 そうか、まだ10年しかたってないのか!


 10年前のあの日の夜、青い満月は店の2階の窓から顔を出して青い月光を照らした…

 … いやあいつは勝手に覗いてた!!


 マリン様が眠る10日前は400歳の誕生日の日だった。

 お昼頃、マリン様宛に何かが届いた。(丸い食卓ぐらいの大きさの物)


 マリン様に伝えると、一瞬だがびっくりした表情を浮かび…


「あ、、あ…

 ジン、2階の寝室に運んでくれる?」とおしゃった。

 あの物は思ったより軽くてなんか滑っとし、水臭い匂いがした。

 寝室の床に置き、ダンボールを開けたら丸い額縁が出てきた。


 

   ✳︎ 『ホレのおばさんの井戸』

自分が望む物が井戸を通して自分が住んでる場所まで連れてくれるある種の交通手段。だが井戸を描いた絵はマルアトリエの特別注文品、

絵の中の井戸に入り本物の井戸がある場所とワープができる ✳︎


 

 その丸い絵は暗い森の中に井戸が描いてあるだけで…見れば見るほど人の気持ちを吸い込むような力を感じさせた、


 「マリン様、もしかしてこんな不気味な絵を部屋を飾る為に注文したんですか?」マリン様は


「ジン!そんなわけ無いじゃん、誕プレじゃ無いかな?笑、、

 もういいから早く出てちょうだい 。」


 マリン様はあの絵を寝室の壁にかけた数日後、久しぶりに穏やかになり…新たなプランがあるからと言い出したのだ。


 眠りに落ちた日から俺は命令通りに寒い北海の海の上で目が回る日々を過ごした…。


 久しぶりに思い出したら手先から寒気がした

ジンは、スーツのジャケットの内側からタバコを取り出して、首に垂れたネックレスのペンダントの銀色のティースプーンを手に取った。


✳︎ スプーンおばさんが使っていたこのティースプーンは、何物でもスプーンにくっついた瞬間、元の大きさを忘れさせて冷蔵庫に貼るミチュアマグネット見たいにして携帯が楽になる。

でもジンは色々くっつき過ぎてまるでのだめの部屋の床みたいになってるから本来のスプーンの部分はほとんど見え無い状態 ✳︎


 このアイテムを長いあいだ使っているジンは

慣れた手つきで小指の爪ぐらいなランプを手のひらに置いた、ランプは一瞬で元の大きさに戻りジンのはタバコに火をつけた。

 深く吸いた分ゆっくり吐き出し、ネオンビンク色の煙を見つめた。


「もう、、何十年も前みたい…」


 道端には甘いブラックチェリーの香りが広がり、ビンク色の綿菓子のような垔がもくもくと咲いてくると、


彼はそこから抜け出すように止めた足を急がせた。


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