第5話 これからも

「退院して一年経ちました!!」//動画配信者の様な感じ


「病院食を中心に消化の良い物を食べていたけど」


「もう何を食べても大丈夫なんだよね?」


「お疲れさまでした。リハビリも頑張ったね」


「という事で」


「回転寿司にやって来ました!!イエーイ」


「ちゃんとした快気祝いです。完全回復おめでとう」


「復活おめでとう。パチパチパチ~」


「・・・ゴホン」//周りの目が気になり、切り替える


「さっそく店内へ入りましょ」


//SEドアを開ける音

//SE混み合っている音

「ごはん時だからね」


「混んでるけど、予約してあるから大丈夫よ」


//SE椅子に座る音


「さぁ、食べよ」


「どれでも好きなのをどうぞ」


「最初の一皿目はあなたに譲るわ」


「そういうものなのよ(笑)」


「はい、お茶をどうぞ」

//SEお茶の入ったコップを相手の傍に置く音


「どういたしまして」


「ふ~んエンガワからいくのね」//SE皿をテーブルに置く音(小さめ)


「美味しい?」


「良かった」


「どんどん食べてね」


//SE皿を重ねる音(小さめ)


「じゃぁ私も、いただきます」//SE皿をテーブルに置く音


「うん、美味しい」


「・・・・・」//SE皿を重ねる音


「・・・・・」//SE皿を重ねる音


「今だから聞くけど」//SE皿を重ねる音


「三途の川とかって見たの?」//SE皿を重ねる音


「ふ~ん、臨死体験とかはなかったんだ」//SE皿を重ねる音


「気付いたら病室のベッドで寝てて、私がいたって感じ?」//SE皿を重ねる音


「目が覚めたら綺麗な女の人がいた?」

「ってなによもう」//照れた声で

//SE皿を重ねる音

//SE皿を重ねる音

//SE皿を重ねる音


「・・・看護師さんもいたけどどっちが?」


「・・・・・」//SEタッチパネルを操作する音


「こら(笑)」//SE皿を重ねる音


「けど、本当に無事で良かった」//SE皿を重ねる音


「無事ではなかったんだけど(汗)」


「生き返って良かったね・・・でもなくて」


「上手く言い表せられない」


「とにかく、元気になって良かったね」//SE皿を重ねる音


「デザートは何食べる?」


「じゃぁ私も同じやつ」//SEタッチパネルを操作する音


「この後行きたい所あるんだよね?」


「良いよ」//SE皿を重ねる音


「でもその前にゲームセンター行かない?」


「久しぶりに行きたいなぁって」//SE皿を重ねる音


「UFOキャッチャー得意でしょ?」


「何か獲ってよ」//SE皿を重ねる音


「腕が落ちたかはやってみなきゃ」


「あっデザートがきた」


「ごちそうさま」//SE器にスプーンが当たる音


「結構食べたけどお腹は大丈夫?」


「私も久しぶりだからちょっと苦しいかな(笑)」


//SEドアを開ける音






「あ!このぬいぐるみ可愛い」


「これやってみて?」


「失敗しても大丈夫だから」


「・・・・・」//SE UFOキャッチャーの音




「・・・・・!?」//SE景品が獲れた時の音


「すごくない?一回で獲れたんだけど」


「わ~いありがとう」


「・・・」


「どうしよう」


「もうゲームセンターの目的果たしちゃった」


「え~?だって私レースゲーム苦手だもん」


「ハンデを付けるから?」


「それで負けても文句言わないでよ?」




「わーー!!」


「キャーーー!!」


「甲羅投げないでーーー」


「投げないでって言ったのに~~~」//SE負けた音




「もういい、あなたの行きたい所に行こ」//ムスっとしている声


「ちょっと遠い?大丈夫だよ」


「少し寝させてもらっていい?」


「ん、助手席で大丈夫」






バンッ!//車から降りてドアを閉める音


「わ~すごい夜景」


「え?街灯の灯りでハートの形に見えるの?どこ?」




「いや~、微妙じゃない?」


「うん?あっ本当だ」


「赤い光を繋げればハートに見える」


「けど、周りの灯りが強すぎて目立たないね」


「でも夜景は綺麗だよ!!いい場所だね」


「・・・あっ、ちょうど赤信号になるとハートが強くなるかも」


「よくこんな場所知ってたね」


「へぇ、仕事帰りに見つけたんだぁ」


「その時は深夜だったからハートに気付いたのね?」


「遅くまでご苦労様です。でも無理しないでよ?」


「今回の事で一層心配になってるんだから」




「何?あらたまって」


「目を覚ます前、柔らかい白い空間にいたの?」


「女の人の声が聞こえて」


「声のする方に行ったら目を覚ましたんだぁ」


「不思議な事もあるものね」


「そして、目を覚ますと綺麗な女の人がいたのね?」//からかう様に


「白い服の人?私が着てたの緑だったと思うんですけど」


「・・・」


「おい、こら(笑)」



(彼が言うには、柔らかい白い空間にいて、どっちに行っていいか分からない位、目印も無い中、女性の声が聞こえてきたんだって。話し掛けてくるんじゃなくて、まるで独り言のように淡々と話をしてる感じで。声のする方に近づいて行くと、話の内容がはっきり聞こえてきたみたいで、私と彼の思い出話だってすぐ分かったみたい。そして気付いたら病室だったんだって)



「私が話し掛けてたのが良かったのかしら?」//冗談交じりで誇らしげに


「・・・・・!?」//抱きしめられて驚いている


「だっ、だって病室は静かだし、話し相手もいないのに黙っていられない性格なんだもの。・・・」//照れ隠しで焦っている。


「?・・・さっき獲ってくれたぬいぐるみ?」


「!?」//ぬいぐるみに指輪がネックレスみたいに掛かっているのに気付いて


「また私から言わないといけないのかなと思ってたわ」




「はい、喜んで」//相手の問いに即答




「そうね、一年遅くなっちゃたけど」


「必要な時間だったと思う」


「二人の絆を改めて確認し合う?みたいな」


「これからもよろしくお願いします」


「いっぱい遊んで、いっぱい笑って、いっぱい喧嘩して・・・」






「いつの間にかこんなに時間が経ってたなんて」


「!!・・・」


「大きなハートだね」

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二人の思い出 こころもち @KitagawaAkira

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