第4話 出会い

「ねえ、覚えてる?」


「初めて会った時の事」


「友達に誘われてBBQに行ったら、お互いに初めましてだったんだよね」


「知ってる人だけだと思ってたからビックリしちゃった」


「準備は男性が火起こし、女性が食材の下ごしらえで分かれたけど」


「食べる時は男女で対面だったから確実に合コンだったよね」


「私達以外は顔見知りな合コン(笑)」


「それでも楽しかったよね」


「野菜焼いて」


「お肉焼いて」


「ニジマスも焼いて」


「最後は焼きそば」


「誰かが『家で作ってきた』って色んな燻製が出てきたよね」


「食後は、皆で川遊びしたね」


「冷たくて気持ち良かった」


「渓流下りの人達がいたよね」


「皆で手を振り合ってさ」


「今度は私達もやろうよって話をしながら」


「川で冷やしたスイカを食べようとした時に」


「スイカ割りをするか、包丁で切るかで意見が分かれたんだよね」


「スイカ割り派は、『スイカ割り』という遊びをした上で、楽しく・おいしく頂ける。まさにエンターテイメントだ!って言ってた(笑)」


「包丁で切る派は、食べやすい形で食べるのが良いって。汚れるのが嫌な人だっているでしょ?って話が出て」


「多数決になってスイカ割りをする事になったんだよね」


「川辺でまさか討論が始まるとは思わなかったわ」


「私は包丁で切る派だったかな」


「よく冷えたスイカを早く食べたくって(笑)」


「結局」


「スイカを落として割ってしまったから、大きく残った部分を包丁で切って皆で食べたんだよね」


「まぁ私が落としたんですけど」


「申し訳なくて落ち込んでたら皆が仕方ないねって落ち着かせてくれて」


「ある意味スイカ割りだよねって誰かが言って、皆笑ってくれてたっけ」


「帰りがけにあなたから『連絡先交換しよう』って言ってきたから」


「交換したけど」


「今だから言うけどね」


「正直な話・・・・・最初はあなたに全く興味無かったの」


「彼氏がいた訳じゃないんだけど」


「どうしてもってでもなかったし」


「良い所も悪い所も知らないというか」


「特徴が無くて平凡というか」


「・・・・・」


「魅力が感じられなかった。なのかしら」


「それでも何度も連絡をくれて」


「皆と一緒に何回か会っていく内に」


「少しづつ、面白い人だなぁって」


「思ってたんだよ?」


「でも、いくら待っても告白して来ないんだもん」


「私に興味無いのかな?って」


「社交辞令だったのかな?って」


「ちょっと不安になっちゃってる私がいたのね」


「湖へ紅葉を見に行った時」


「皆とちょっと離れたタイミングで」


「私から『付き合ってみる?』って言ったんだよね」


「断られるかな?って思ったんだけど」


「『はい、喜んで』って即答だったね(笑)」


「そこから色んな場所に行ったよね」


「遊園地とか」


「ジェットコースターは乗ったのにお化け屋敷は『絶対に嫌だ』って頑なだった(笑)」


「それなのに、ソロキャンプは、やってるんでしょ?怖くないの?って聞いたら」


「『整備されてるキャンプ場だし、脅かしに来るわけじゃないから』だって」


「そんなものですかねぇ」


「今度キャンプに連れて行ってくれる約束だからね」


「シュラフ?寝袋だって一緒に買いに行ったじゃない?」


「そこで他の道具も見てたら店員さんと話が盛り上がってて、私はほったらかし」


「目がすごいキラキラしてて」


「本当に好きなんだなぁって」


「羨ましく思った事は今までに何回もあるんだよ?」


「私はそんなに打ち込める趣味とか持ってなかったから」


「あっでも服のほつれた所を直した時に『手先が器用だね』って言ってくれたよね」


「嬉しくって編み物を始めてみたんだけど、奥が深くて面白くてハマっちゃった」


「手始めにマフラーを編んでみてさ」


「何とかクリスマスに間に合ってプレゼントしたら喜んでくれたよね」


「初詣に行った時にも使ってくれてた」


「今はそのマフラーに合う手袋を編んでる最中なんだけど」


「初詣の時、あなたは私にこう言ったよね」


「『今年の抱負は、君の誕生日にサプライズをする』って・・・」


「言っちゃダメじゃない?」


「その時は大笑いしたけど」







「もうすぐ私の誕生日だよ?」


「だからね」


グスッ//SE鼻をすする音


//涙声

「早く起きて」


「事故の怪我はもう治ってるんだって」


「あとは意識が戻るだけなんだって」


「だからもう起きていいんだよ?」


「これからも沢山」


「いっぱい思い出を作ろうよ」


「こんなサプライズなんてダメだからね」

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