第2話 告白

「ねぇ覚えてる?」


「ドライブで海に行った時の事」


「車を買い替えたから慣らし運転も兼ねて連れてってくれたよね」


「渋滞が嫌だからって高速道路から一般道路に変えて走ってたら」


「道に迷って、海に着くのが少し遅れたよね」


「カーナビが高速道路に戻そうとするから?」


「設定を変えてなかったもんね(笑)」


「カーナビの指示ガン無視で走ってた(笑)」


「縛られないのがドライブだからのんびりでいい?」


「私、あなたのそういう所好きよ」


「でも、だったら高速道路でも良くない?」


「動かないのは嫌?(笑)」


「慣らし運転だから動かなきゃだしね」


「そうそう、海に着く前にお昼にしたんだよね」


「もう少しで目的地って所で、お蕎麦屋さんに寄ったのを思い出したわ」


「店主さんが蕎麦を打ってる所が見れたよね」


「テレビで見た事あるけど、実際はもっとすごかったなぁ、職人って感じがしてた」


「色紙が何枚か飾ってあったの。気付いてた?」


「全っ然知らない人ばかりだった(笑)」


「結構昔から開いてたんだろうね」


「お座敷もあって、雰囲気の良いお店だった」


「お蕎麦が美味しくていくらでも食べられるわって言ったら」


「おかわりもして良いって言うから遠慮せずに頂きましたよ」


「【わんこそば】か!って驚いてたけど、私ってそんなに食べた?」


「十枚なんて食べられないよ(笑)あの時は七枚だよ」


「周りの人も驚いてた?」


「お店の人は喜んでたもん」


「それにお蕎麦は美容に良いんだよ?」


「エビ天も大きくて、流石は海の近く。お刺身も新鮮で美味しかった」


「あと、あんみつ」


「サインをねだられたけど」


「大食いタレントじゃない事を何とか理解してもらえたっけ(笑)」


「本物だったらもっと食べてるよね」


「けど頑張ればもっとイケたよ」


「お蕎麦屋さんから車で少し移動しただけで目的地に着いたけど」


「お客さんが沢山いたから」


「あそこって有名な観光地なんだね」


「そういえば子供の時以来かな、あんなに海の近くに行ったの」


「海水浴も中学校以降行ってなかったから」


「プールは行ってたから泳げるけどね」


「砂浜って結構足を取られて、ちょっとだけで歩き疲れるのね」


「子供の時はそんな事、思った事なかったけど」


「久しぶりだから新鮮だった」


「海、気持ち良かったね」


「良い天気で」


「風も涼しくて」


「泳がなくても楽しかった」


「一生懸命に海に向かって水切りしようと石を投げてたけど」


「無理だからね(笑)」


「子連れの家族も沢山来てて、子供たちのはしゃぎ様(よう)が可愛かったぁ」


「裸足にでもなって波際を歩けば良かったかな」


「きっと気持ち良かったよね」


「また連れてってね」


「その時は一緒に歩こうよ」


「お土産も沢山買ったよね」


「お茶・饅頭・クッキー・キーホルダー・地域限定ポテトチップス…を3個」


「買い過ぎではないよ」


「限定だから、ここでしか買えないやつだから」


「ネットでは買いません!」


「その場所で買うからイイんですぅ」


「あっ観覧車にも乗ったよね」


「景色がすごかったぁ」


「夕日と海と富士山」


「魅入ってたらあっという間に一周しちゃったね」


「そのまま帰りはもちろん、高速道路で」


「途中、サービスエリアでアイスクリームも食べたし」


「渋滞してなくてスイスイ走れてたけど」


「あなたの口数が少なかったよね、運転に集中してる?って思って、一緒に前を見てたけど」


「なんでだったの?」


「えっ?あの時?」


「観覧車の中で」


「夕日に照らされたストールが羽衣みたいに見えて」


「天女?」


「私が!?」


「フフフ、何それ(笑)」


「ありがとう。で良いのかしら」


「それをずっと気にしてたの?」


「その後?」


「・・・うん・・・」//(照れながら)


「あの時、赤富士も綺麗だったけど」


「夕映えに輝くあなたの瞳が、とても綺麗だったから」


「近くで見たくて」


「・・・・・」//間を置いて


「キスした理由がこれじゃダメかな?」

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