二人の思い出
こころもち
第1話 夏祭り
「ねぇ、覚えてる?」
「二人で初めて行った夏祭りの事」
「一緒に浴衣を着て行こうって話しをしてから」
「私、ワクワクしてたんだよ?」
「友達と浴衣を買いに行って」
「お母さんに着付けを手伝ってもらって」
「天気予報も気にして、てるてる坊主も作ったんだから」
「なのに朝からお昼過ぎまで雨で」
「遠くで雷も鳴ってたけど」
「晴れて良かったよね」
「待ち合わせ場所に、珍しくあなたが先に着いてたっけ」
「あなたも楽しみにしてたの?」
「雨が降った後だったから夏祭りが始まった時は、過ごしやすかったね」
「浴衣似合ってたよ」
「花火が上がるまで、ゆっくり出店を見て回ったよね」
「提灯とか色んな灯りが周りで光ってたから、まるで夢の中みたいだった」
「っていうのは言い過ぎかな(笑)」
「それでも人はたくさんいたし、二人とも浴衣でなんて歩き慣れてないから、休みながらで」
「すぐ足が痛くなっちゃったけど楽しかったぁ」
「会場が近所じゃなかったらこうはいかなかったね」
「射的でガンプラ?取ろうとしてたけど」
「中々うまくいかなかったね」
「何か欲しいのある?って聞かれたから」
「取れやすそうなやつを選んだつもりだったんだけど」
「もういいよって言ったのに」
「ムキになって(笑)」
「ぬいぐるみを取ってくれたね」
「ごめんね。ありがとう。うれしかった」
「何か持ってると落ち着くものなんだね(笑)」
「夜なのに暑くなってきたから、かき氷も食べたね」
「色が違うだけで味は一緒だなんて」
「風情のない事言ってたけど」
「すぐ溶け始めたから、急いで食べたら」
「なったよね。キーーーンって」
「なんでああいう風になるんだろうね?」
「えっ?冷たい刺激を痛みとして間違って感じてしまうから?」
「アイスクリーム頭痛って言うんだぁ」
「へぇ~」
「きっと二人で同じ顔してたんじゃないかな」
「かき氷を食べて頬に手を添えてる仕草が可愛かった?」
「・・・そうよ。あなたの彼女さんは可愛いのよ」
(本当は知覚過敏なんだけどね)
「その後(あと)、あなたがトイレに行ったでしょ?」
「私の場所が分かるように、ぬいぐるみを持ち上げてたの気付いた?」
「癒しに、目印に、ぬいぐるみ大活躍だよ」
「最初より人が多くなってきて、ちょっと移動するだけでも一苦労だったよね」
「そういえば、あなたが戻ってくる間に、私がナンパに遭ってた事を話したら、少し不機嫌になってた事、覚えてる?」
「なんで?」
「・・・・・」(返事を聞く為待つ)
「フフフ何それ?(笑)そんな事ないよ」
「あっ、だから花火会場に向かう時に、急に口数少なくなるし、小走りになるし、はぐれない様に手を握ってくれてたけど、ちょっと強かったんだ」
「浴衣で階段を上るのは大変なんだからね」
「土手の階段を上がる時も ズンズン って感じだったのはそういう事?」
「案外お子さまな所もあるのね。カワイイじゃない(笑)」
「けど、それなら」
「私だって少し怒ってたんだから」
「そうだよ」
「いつまで待っても浴衣の事、カワイイとか言ってくれてませんでしたよ~だ」
「言った!?いつ?」
「花火が上がってる途中。キスする前に言った?」
「あんなにドンドンドン、バチバチバチ鳴ってる中で?」
「結構近いんだからその分音も大きかったよね」
「聞こえるわけないでしょ」
「ズルいよ」
「そういうのは、ちゃんと言ってください」
「その後(あと)も耳打ちしてきたりしたけど」
「周りの人達の歓声もすごかったから」
「全っ然聞こえなかった」
「花火が綺麗だねって言ってるんだと思ってたわ」
「混雑するから、花火が終わっても周りの人達が少なくなるまで待ってる時に、
ソースの味がした。って言われて恥ずかしかったのは覚えてる」
「何でそういう事を言うかなぁ」
「食べ過ぎ?」
「食べ過ぎてません」
「お店の人が『お姉さん可愛いから』って、おまけで少し多めにしてくれたけど、お好み焼きとドネルケバブとイカ焼きを食べただけだもん」
「やきそば?」
「あれはあなたと半分個にしたからノーカン」
「たこ焼き?」
「たこ焼きも1パック計算なので、半分個にしたからノーカンです」
「帯が苦しいって言ってた?」
「すぐ凹むもん」
「でもそこからダイエットの話になって」
「一駅分歩いたり、休みの日にジョギングしたり」
「二人で公園に行って、色んな器具で体を動かしたよね」
「でもバドミントンやってた時が一番効いたかも」
「夏以外の季節でも、汗が凄いし」
「体を動かしてるって感じがしてた」
「結構ダイエットとして効果が出てると思うけど」
「あなたもお腹周りが少し細くなってるんじゃない?」
「ダイエットにはスポーツが良いのかもね」
「今ではやって良かったと思ってるけど」
「ダイエットを始めるのに、渋ってた私に」
「一年続いたら、誕生日に何でもプレゼントするって言った事」
「忘れてないよね?もうすぐ一年経つよ?」
「応相談だけど高価な物じゃなければ何でも?」
「言ったね」
「何でもかぁ」
「何でも良いのかぁ」
「どうしよっかなぁ」
「言っちゃおうかなぁ」
「欲しい物もう決めてあるんだぁ」
「・・・・・」//勿体ぶる間
「銀だこ三年分♡」//囁く様に
「えっ?ダメ?」//間髪入れずに
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