次の攻略は、森林のダンジョン
ショッピングセンターにて、【エネミー共存党】の襲撃事件が発生した翌日。
謙二は、朝の9時にアパートを出て、次のダンジョンへと向かった。
(あまり気分転換が出来なかったが、ラノベが沢山読めたしいいか)
心の中でそう呟く謙二が向かった先は、鉄道で10分走った先にある森林公園だ。
朝起きた時に、専用のスマホからの通知があり、その森林公園に新たなダンジョンが発生したと言う。
鉄道を利用してだが、今の住処から比較的近めなので謙二がそのダンジョンを攻略することにしたのだ。
(美波は、昨日の件での報告をしてるだろうし、凜は疲れで眠ってるだろうしな)
なお、美波は昨日起こった【エネミー共存党】による襲撃事件の報告をしており、凛に至っては疲れで眠っているだろうと予測している。
まぁ、凛の場合は久しぶりの戦闘だったし、無理はないだろうが。
「ここか」
鉄道を利用して、さらに5分歩いた先に見えたのが、今回のダンジョンだ。
昨日の夜に発生したようで、歪みも真新しい。
「女神の測定データでは、ダンジョンレベルは3か。 歯ごたえがありそうなダンジョンだな。 迷いの森ではないのが救いか」
今回の女神様による調査データでは、この森林ダンジョンのレベルは3。
よくある迷いの森要素はないようだ。
その分、多くのエネミーが潜んでおり、木や花に偽装した魔獣系エネミーも確認されているという。
「美波や凛がいなくて良かったな。 もし、彼女達が先にいてたら……、っと、いかんいかん!」
森林のダンジョンに入る前に、美波と凛がここにいなくて良かったと安堵する謙二。
同時に、もし二人がいた場合を考えた際に、花や木に偽装した魔獣型エネミーにあんな事やこんな事をされるという妄想が出てしまったようなので、何とかそれを振り払う。
ダンジョンに入る前には、煩悩は退散しないといけない。
「ふぅ……。 さて、突入しますかね」
何とか煩悩を振り払った謙二は、ミスリルの剣を構えて森林ダンジョンに入った。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「せやっ!!」
森林のダンジョンの中は、レベル3にしては簡易的な構造だ。
しかし、女神の調査データの通りに色んなエネミーが襲ってくるため、なかなか進まないようだ。
「ふぅ、しかし敵が本当に多いな。 木や花に擬態したエネミーもそうだが、虫型の魔獣エネミーが多すぎる」
謙二は悪態をつきながら一息入れる。
木や花に擬態したエネミーも出ているが、虫型の魔獣エネミーが多数襲撃しているのだ。
虫型は、かなり素早く剣による攻撃でなければ、なかなか当たり辛いので、厄介だ。
幸い、ランクはDで毒持ちではないが、数の暴力による襲撃なのでかなり面倒な事になっている。
「ちいっ! 忘れた頃に【トレント】か……!!」
虫型の襲撃が落ち着いたころに、木の触手が謙二に襲い掛かる。
咄嗟に躱した謙二は、木の魔獣エネミーの【トレント】に斬りかかり、真っ二つにする。
なお、この【トレント】もDランクのエネミーなので、謙二なら対処は可能だろう。
「しかし、本当にエネミーの数が多くて時間が掛かるな。 女性陣だと大変になりそうだな。 トイレの問題とか」
トレントを倒して再度一息をつく謙二。
これだけエネミーの数が多く、進むのに時間が掛かるのなら、女性の攻略者はトイレの問題などで辛い目を見るだろうと独り言ちる。
「あの先がボスだし、さっさと突き進もう。
あまりにも数が多いため、本来は相手との間合いを一瞬で詰める
「
再度、多数のエネミーが襲い掛かる中で、謙二は
すると一気に多数のエネミーの群れを切り裂きながら駆け抜けていく。
幾つかのエネミーが謙二にすれ違いざまに斬られる中で、ようやく奥のボスが見えて来た。
「こいつが……ボスか」
ボスのエリアに着いた謙二が見たのは、他の木々よりも大きく、そして不気味な緑色に染められた巨木のエネミーだった。
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