三人でショッピングセンターへ
「んー、今日は晴天だねぇ」
「程よい暖かさやし、風も気持ちええわぁ」
翌朝。
謙二と美波は、凛に案内される形で近くのショッピングセンターへ向かっていた。
正確には、謙二と凛が美波をそこへ案内している訳だが。
「さて、ここだよ」
「ほわぁ、ホンマに大きいんやね」
「規模が大きいショッピングセンターを営む企業グループなんだけど、武具や魔道具の納品に飛鳥財閥等の優良財閥の力を借りてる以外は、殆ど財閥に関わってない人達で成り立ってるからね」
到着した先のショッピングセンターは、一部の納品には飛鳥財閥等の国から指定された優良財閥に頼んでいるが、それ以外は基本的に財閥に関わらない人達の力で成り立っているという。
「私の作った市販向けの武具の一部もここで取り扱いしてるしね」
「そうだったのか」
また、凛が市販向けに作成した武具の一部もここで取り扱いしているという。
凛の創造者としての仕事ぶりに、謙二は感心するばかりだ。
「と言っても、今日はここで日用品やら趣味の品を買う予定だから、武具屋さんはスルーだよ」
「ラノベ辺りか。 まぁ、俺もだが」
「そういう事♪」
ただ、三人がここに来たのはあくまでも趣味のラノベや日用品等を購入するためだ。
決して武具を買いに来た訳ではない。
凛は分からないが、美波はオーダーメイドの杖があるし、謙二も凛から誕生日プレゼントの代わりとして貰った試作型のミスリルの剣があるからだ。
武器に関しては、問題はないのだ。
「凛さんも謙二さんもラノベを買ってはるんやね。 うちみたいに」
「お、美波もか?」
「うん。 色んなジャンルのラノベをよく読んでるよ。 今は追放ざまぁモノを読んでるかな?」
どうやら、美波も謙二や凛と同じくラノベを買って読んでいるらしい。
現在は、追放ざまぁモノのラノベを読んでいるとの事。
「おっ、私と同じ趣味とは気が合うね。 じゃあ、早速本屋に向かおう!」
「よしきた!」
「うんっ!」
美波がラノベを愛読しているのを聞いて、テンションが上がった凛は、二人を先導するようにして、ショッピングセンターへ入って行った。
目的地は、本屋だ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「あった、これやこれや」
「すでに3巻目が発売されてたのか」
「私たちも確保しよう。 あとは、あっちのジャンルのラノベだね」
「婚約破棄モノか?」
「そうだよ」
足早にショッピングセンター内の本屋に向かった三人は、早速追放ざまぁモノの最新刊を確保した。
そして、次は婚約破棄モノの作品が並んでいる場所へと向かう。
そこでも、凛が狙っていた作品の最新刊が売られていたので、これも凜が確保した。
「謙二さんは、婚約破棄モノは好きじゃないんやね」
「あんまりな。 追放さまぁモノとか異世界転移モノが好きだしな、俺は」
「そうなんやね。 うちは、追加でスローライフものとか現代ラブコメモノとかも読むよ」
「なるほどね。 じゃあ、凜がこっちに来たらそのジャンルのエリアにも行って見るか」
少しして凜が多くのラノベを買いあさっていたので、二人は少し呆れつつも自分達も好きなジャンルを数冊だけ買う事になった。
結構な数のラノベを買ってしまったので、現在の所持金は少なくなった。
「買いすぎたなぁ。 お金がないぞ?」
「あそこのATMでお金が引き出せるよ。 攻略者用のキャッシュカードも使えるし」
「銀行が遠いからどうしようかと思ったが、このショッピングセンターにも攻略者用の銀行ATMがあったのか」
「最近、設置されたみたいだよ。 幾らか引き出そうか。 お昼ご飯も食べたいし」
「そうだな。 じゃあ……」
所持金がかなり減ったことを嘆く謙二に、凜は攻略者用の銀行ATMがあることを教えた。
最近設置されたらしいので、これで遠くにある銀行に行かなくてもある程度のお金が引き出せる。
昼食代を早速引き出そうとしたのだが……。
『緊急事態発生! 何者かがショッピングセンター内で無差別に襲撃している模様! 戦う術のない者はすぐに避難をし、戦える者は【攻略者保護法】に則って襲撃者を処分してください』
アラーム音と共に、せっかくの雰囲気を台無しにする事件が発生したのだった。
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