二人で進む廃校ダンジョン
「一発当てたら、すぐにもう一発当てるんだ!!」
「てぇぇい!!」
謙二は、美波という変わった喋り方をする少女と共にダンジョンの奥へと進む。
その際に、コボルトやゴブリンといった【怪人】タイプのエネミーと戦う際に美波に杖で殴る際の心得を教えながら彼女に戦わせていた。
と言っても、複数出てきた場合は謙二が数匹対処し、残り一体を美波に任せる形にしている。
「ふぅ……」
「いいぞ、その感覚を忘れないようにしよう。 初撃で倒せない場合はすぐに二の太刃を入れておくことだ。 向こうの反撃よりも先にな」
「うん。 何となく感覚が掴めそうやわ。 ありがとう、謙二さん」
「どういたしまして」
(おおぅ、笑顔が可愛いなぁ。 凛もそうだけど、美少女だしな)
コボルトとの戦闘が終わり、ホッとしている美波を労う謙二。
その彼女が財閥の令嬢であっても、私情を挟まずにきちんとするのが彼の流儀だ。
なんだかんだで、いい感じに戦えているのもあってか、謙二の美波への評価も高い。
あと、謙二は労われた美波の笑顔に少しドキッとしていたようだ。
「しかし、ここは【怪人】が多いなぁ」
「見たところ、元は小学校やったんやし、人型が徘徊しても不思議やないね」
「確かにな。 ランクはEだとしても油断はできないな。 僅かだが【魔獣】も確認されてるし」
「せやね。 その魔獣が【怪獣】や【超獣】でない事を祈りたいね」
謙二と美波は、そんな話をしつつ奥へと進む。
ちなみにエネミーには、まず【魔獣】と【怪人】と【アンデット】に分類される。
二足歩行が可能なエネミーは、総じて【怪人】と言われ、ランクはEが最弱でAが最強となっている。
また、【アンデット】は普通の攻撃では倒せないので、聖水や光属性のスキルが必要になる。
これも同じくランクはEが最弱でAが最強となっている。
一方で、それ以外は【魔獣】と呼ばれ、こちらはランクによってさらに呼称が変わる。
魔獣の中でもランクBの場合は【怪獣】と呼ばれ、ランクA以上は【超獣】とも呼ばれている。
例えレベルが1のダンジョンでも運が悪いと【怪獣】や【超獣】が紛れ込む可能性もある。
なので、警戒は強めておかないといけないのだ。
「あっ」
「どうした?」
「向こうから【アンデット】が来たで」
「げっ! 片方は人体模型かよ!」
二階に上がった所で、美波が敵を感知した。
その先には【アンデット】のようで、そのうちの一体は謙二が先ほど戦って倒した人体模型だった。
「空間の歪みがあったから、そこから出て来たんやね」
「仕方ない、聖水を……」
「謙二さん、ここはうちに任せて。 丁度チャージが完了したし」
「へ?」
聖水を使おうとした所で美波に制止される。
彼女に何か手があるようで、杖をアンデットの二体に向け始めた。
(これは……!?)
杖の先から発する光で、謙二は何を使うかを察した。
彼女がチャージが完了したと言っていたし、それを使うのだろう。
「
美波がある言葉を発した瞬間、杖から光が放出される。
『ギョエェェ……!!』
『アガガガガガ……!』
美波の杖から発した光を浴びて、浄化されるゴーストとのた打ち回る人体模型。
あの時と同様に、人体模型の方は暫くジタバタした後で動かなくなった。
「ふんっ!」
そして、動かなくなった人体模型は謙二のミスリルの剣でバラバラに切り裂いた。
「いやー、すごいね謙二さん。 その剣、国から支給されたミスリル銀で作られた剣やない?」
「ああ、幼馴染の創造者が作ってくれた代物だ。 それよりも、美波も対アンデットのスキルも使えたんだな」
「うん。 レベル3ダンジョンに生息するアンデットまでならうちの浄化で何とかなるんよ」
「それは頼もしいよな」
アンデットを浄化し終えた後で、美波は人体模型を切り刻んだ際に持っていたミスリル製の剣に目を付け、謙二も美波の浄化スキルが使えた事に言及した。
美波の浄化スキルの威力は、レベル3ダンジョンに潜むアンデットまでなら効果は高いようだで、個人攻略者の謙二には羨ましい限りだったようだ。
「とにかく先へ進もう。 レベル1だから、単純構造だし仕掛けはないからな」
「うん。 あそこの階段で上に上がるんやね」
「ああ、行こう」
そして、お互い気合を入れなおしてから先へと進む。
幸い、この廃校ダンジョンはレベル1のため、仕掛けがなく構造は単純。
なので、すぐに上への階段が見えたので、謙二と美波はすぐに上へと階段で登っていくのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。