第5話
過去編
その日、私は先生に相談した。金銭面で大変な思いをしていることや親のことを。
「貴方は確かに大変かもしれないけれど、今までやってこれているじゃない。貴方より大変な人はこの世に他にもいるのだから、貴方だってうまくやれるはずよ」
また、お決まりのセリフを言われた。
私の父が一度もこの学校に来なかったから、心配して言ってくれたのかも知れない。
だから信じて行ってみたら、ただのお説教。
私は何度この言葉を聞けばいいんだろう。
なら貴方はその人を救えるの?って言いたい。私より辛くて大変な人がいるのであれば、私のことは助けなくていいってこと??
そもそも
私は既に学生でありながら多くの人に頼られてサポートしてる。私の方が現在進行系で助けてるよ!!
あぁ、辛い……本当に辛い。あっちはああやって偽善者面して、私はこんな力ばっかり付くの??いやだよ。
「もっと楽しく自由に行きたい!!」
私は叫んだ。
少しスッキリした。けど、無性に恥ずかしくもなった。
今の姿、他の生徒は誰も居ないみたいだった。誰にも見られていなくて良かったーーーいや、でもさっきの教師に聞こえてかもしれない。
まぁいいや。どうせ関わりないくそ偽善者だし
「あのぉ!!」
「何??」
「よろしければ、俺と一緒に働きませんか?」
「はい?アンタ誰?」
「俺、俺・・・貴方が凄い人だと聞きました!!」
「はぁ、」
なんか変な奴に絡まれた。
「よろしければうちで働いてくれませんか?」
「うち?」
「はい!!実は最近、会社を起業しましてね。しっかり儲かって地盤も固まっているので、あなたをぜひスカウトしたいと思いまして。よろしければ、我が社の更なる発展のために一緒に働いていただけないでしょうか?」
まさかの、高校生起業だった。
急に現れたと思ったがこいつすげぇ奴かよ。
「いや、急に会社入らないとか言われても……困ります」
「お願いします!!」
土下座して、頭を地面に付けてお願いしている。
「はぁ、そこまでされたら一度見るだけって、言いたいところだけど、私も家のことあるからさ」
「そうなんですか??ちなみにどんなことが忙しいんですか?」
まさかのくらいついて来た??やんわりとか断っても効かないタイプか?
「それは」
言えない、うちの親が電気代や光熱費を私に支払わせてるやばい奴とは言えない。
「・・・家事とかだよ。」
「・・・そうなんですか?」
「そうだよ。毎日やらないと忙しいくらいで」
「もしかして、幼い妹や弟がいるとか……?」
「居ないけど、よく父が散らかすから」
「ますます欲しい!職場見学だけでもいいので、一度足を運んで貰えないでしょうか?」
「そう言われてもなぁ、時間が」
「そう言わずに。来てくれたら3万出します」
「行く」
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