第3話 仲直りをしたい
由紀さんを押し倒して三日。
あれから由紀さんが何かをしてくることはなくなった。
というより以前のように少し距離ができた気がする……。
目が合うと、そらされるし。ご飯を一緒に食べる時もとっとと食べて自分の部屋に行っちゃうし。
嫌われてしまったのだろうか……そんなことをここ最近では考えてしまう。
でも由紀さんだってさんざん私に色々してきたんだし、私がやってもいいと思うんだけど……。
そんな苛立ちが募るが、実際に言える度胸もないし。「理不尽だ!」とか言っても意味なさそうだしな。身に覚えがないよう顔をする顔が目に浮かぶ。
うん。言えないわ。言うほうがなんかありそうだ。
というもんもんとした三日間を過ごしている。
「だから?」
……。
一連を学校で麻衣に相談したところ、返ってきたのがこの返答である。
結局相談しないとか言っても相談できる相手は麻衣だけで、相談したんだけど……。
でもさすがにこれはひどくない? もう少し、私に優しくしてくれませんか?
「パフェを奢っているんだから、そんな睨まないでよ。さすがにちょっとは悪いと思ってるって」
私に押し倒せとアドバイスをしてきた麻衣が片手で謝りながら言ってくる。
まあ、実際に行動に移した私も悪いので、責めるつもりはないけどさ。
「でも、ほんとにどうしようかなって」
このままの関係は嫌だし。
「だったら美咲から行動を起こすべきなんじゃないの?」
「そうだけどさー」
実際、麻衣の言っている通りなんだろう。
私が仲良くしたいと思っているんだ。なら私から行動するのが正しい。
でもなー。うーん。
「もう一回押し倒すとかさ」
「いや、なんでだよ!」
私は思いっきり机を叩く。
よりにもよってさー! ふざけんな。
というか由紀さんに避けられたのは麻衣のせいでもあるんだよ? やった私ももちろん悪いんだけどさ。それでも片棒は担いでんのよ?あんた。
それをもう一回やらせようとしているのか。
睨みつけると「冗談冗談」と麻衣はいつものようにふざけて笑うが、私からしたら死活問題だ。今後一切ふざけないでいただきたい。
あれから色々考えたけど、結局いい案は出ずに家に帰った。
それからはいつも通り、由紀さんとは会話を交わすことなく自分のベットに入る。
振り回されることがなくなったのはいいんだけど、由紀さんと一緒に居れないのはつらい。今の生活に由紀さんが入り込んでいて、いないと物足りない。
そんなことを思うくらいに由紀さんの存在が大きくなっている。
……ほんと、早く仲直りしたいな。
コンコン。
眠れずにいると私のドアが開いた。
そこに立っていたのは由紀さんで枕を持ちながら無表情で。
「今日、美咲の部屋で寝るね」
そう言って私の部屋に入ってきた。
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