第18話 お触れを聞いて

 王様のお触れを読んで、ドイツは、もとより、オルゴールの発祥地であるスイスやオランダからも、腕に自信のあるオルゴール職人が、続々と集まってきました。このような話は、職人の組合を通じて、すぐに国内外に伝わります。

 その頃、ハンスは旅職人の修行を終え、ヨハナと今後のことを語り合うため故郷の村に戻っていました。ヨハナが、いつ結婚ができるのと聞きますが、もう少しお金を稼いでからでないと難しいとハンスは答えました。

 ハンスは、お金を貯め有名になって、できれば親方になってから、結婚したいと考えていたのです。

「それでは、私はおばあちゃんになるわ」

ヨハナは、そんなに悠長には待てません。

「そんなに長くなくてもいいんだ。もう少し時間をくれないか。君との結婚の約束は、絶対に守るから」

そう、言って、ハンスは、親方のもとに修行が終わったことの挨拶をかねて、今後の身の振り方を相談に行きました。

 親方は、王様が、今までにないようなオルゴールを作るので、職人を集めているという知らせを教えてくれました。

 もし、これで成功すれば、ハンスの名前は、国中に知れ渡り、親方になる道もひらけます。ハンスは、これからどこで働こうかと考えていた矢先でしたので、その話を聞いて、すぐに、その応募に参加しようと決めました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る