第2話 母の死

 ハンスの家には、おばあちゃんとお父さんしかいません。ハンスの母親は、ハンスが生まれたときに亡くなったのです。ハンスの母は、ハンスを身籠っているときに重い病気になりました。ハンスの父は、このままでは、妻もお腹の子も亡くなってしまうと、森に住む魔女に、なんとかして妻も子も助けてくれるように頼みました。

 魔女は、どちらかは助けることができるが、両方は難しいと言います。そこでハンスの父は、せめて妻だけは救ってほしいと言いました。魔女は、妻を助けることを約束しましたが、あるものを要求しました。引き換えに、お腹の子供がほしいと言ったのです。

 妻の命が助かるならとハンスの父は、同意して魔女から丸薬をもらいました。それを飲めば妻が助かります。しかし、ハンスの母は、その薬を隠して飲んだふりをしたのです。結局、妻は亡くなり、子供は元気に生まれました。

 ハンスのお父さんは、ハンスが生まれても嬉しくはありませんでした。妻が助かるものと信じていたからです。森の魔女に、騙されたとハンスの父親は、死ぬまで恨み続けました。ハンスの父親は、母親が死んだのは、お前のせいだとばかりハンスにつらく当たりました。おばあちゃんが、いさめても聞く様子はありません。

 しかし、ハンスの父は、昔、魔女と約束をしたということは、絶対に話しませんでした。魔女の仕返しが恐ろしかったのと、子どもに、そこまで言って、苦しめたいとは考えていなかったからです。

 

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