第3話 過ぎていく日々
――あれから琴美はどんどんタフになっていった。
最初は私に振り回されるだけだったが、着替えさせまくったからか、私の前で脱ぐのに躊躇がなくなっていた。……いや、着せたいこっちからしたらいいんだけどね? もうちょっと恥じらってくれたほうがうれしいんだけどな、って言ったらドン引きされた。
今も琴美は私のベットの上で動画を見て、モデルの歩き方やポーズの仕方を勉強している。
「どう? いいポーズとかあった?」
「そうですね。見ている分には簡単そうですけど実際やるとなると難しそうですね」
まあ、それができればプロだからね。
今も動画ではモデルさんが超高いヒールを履きながら、簡単そうにポーズをとる。
絶対無理だな、うん。私がやるとコケそうだし、コケなくてもかっこいいポーズとかできずにふらふらしそう。
琴美もそれをわかってか表情は暗い。
「ひかりこそ、ドレスは順調ですか?」
「うーん。まあ、ある程度かな……」
私のほうもあまり進んでいない。案は出してはいる……でも、琴美に着させるってなるとなんでも似合いそうなんだけど、同時に服がしょぼく見られそうなんだよね……こう、琴美の魅力負けしているみたいな。
だからある程度の方向性しか決まってない。
「そういえば、ドレスの希望とか出さなかったけどいいの?」
「ひかりが私に似合うものと思って作ってくれたなら、私が口出すことではないかと思いまして」
プレッシャー上げてくれるね。
拗ねるように言う。
「マイクロビキニとかにしてたかもよ」
「そしたらひかりに着せますね」
……笑顔が怖いよ。笑顔が。
ちょっとからかおうか思っただけなのに、圧をかけられる。会ったときだったら、こんな顔絶対しなかったなー。
「でも、この尻にマイクロビキニだったら、それはそれでヤバそうだな」
「またお尻触って……」
あっと。私は慌てて手を放す。
採寸してからというもの、私は無意識に琴美に触ってしまっては怒られている。
だって琴美の体が触り心地良すぎて、無意識に触っちゃうんだもん。しょうがないじゃん。
てかなんで私よりも細いのにあんなにやわかいのよ!
「ひかりはボディタッチしすぎです。……次やったら、私も怒りますよ」
「はーい」
「……はあー」
琴美はため息をこぼす。でも、私も無意識なのでこればっかりはどうしようもない。でも怒ったら絶対に怖いので気を付けます……。
あれから勉強やら案だしをしていると遅くなってしまい、ご飯を一緒に食べようってなった。
今、私の家で琴美が料理を作てくれている。
……いや、私は出前を頼もうとしたんだけどさ。琴美が悪いと思ったのか、単に私が基本的に出前で過ごしていると知ったからか「私が作ります」って詰め寄ってきたからね。
一応手伝おうとしたんだけど、結構な勢いね断られたからただ琴美が作っているのを見てるってわけ。
そんな私に目もくれず、琴美はめっちゃテキパキと動いて、すぐに料理ができる。
唐揚げや前菜を作ってくれていたらしい。めっちゃおいしそう。
「うっま!」
やばい。うまい。てか料理までできるとか何? 女子力が限界値を突破している。
そんな琴美は満足そうに微笑む。
「よかったです。ひかりはかわいいんですから、ちゃんとご飯ぐらいは食べてくださいね」
「でも、私料理できないし」
琴美は少し迷って。
「……それなら、ご飯ぐらい作りますね。ただし皿洗いはしてもらいます」
「えー」
「やりますね?」
「……はい」
圧がすごい。ニコニコしてるのに目が笑ってないよ。
なんか完全に尻に敷かれてるんだけど……。
仕方ないと琴美は肩をすくめた。
その日からご飯を作ってくれるようになった。
嫁かな? いや、めっちゃ嬉しいんだけどね!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます