第2話 採寸

 モデルになってもらうことを琴美に承認してもらい、早速家に連れてきた。

 ……部室でも良かったんだけど、せっかくだからと、こっちにしたのだ。着替えとかするなら誰もいないほうがいいしね。

「じゃあ、私の部屋にいこっか」

「……」

 いやー視線が痛い。

 まあ、何もしないとは言えないんだけどね? だって採寸しないといけないし。

 そんな目で見られながら、私の部屋にあげる。

「ここが、ひかりさんの部屋ですか……服が多いですね」

「まあ、そりゃあね」

 それが私の趣味でもあるし、部活動でもあるからね。そりゃ多くなる。

 まあ私はほとんど着ないけど。

 琴美が部屋をまじまじと見ているんだけど……さすがに恥ずかしいので、私は早速メジャーを取り出す。

「じゃあ、採寸やるよー」

「あっはい。そうですね」

 琴美はと向かい合う。

 部屋に可愛い子……触るしかないよね!

「まあ色々、測らせてね?」

「きゃっ」

 私は琴美に近づきながらネクタイを外す。

 腰に手を回しながら、逃がさないようにしっかり掴む……って腰ほっそ!

「え? あのサイズってどこまで測るんですか!?」

「全部だよ。スリーサイズからカップ数まで。貴方の全部を私は知りたいな♡」

「ぬっ、脱がさないでください! ちょっ、自分で脱げますから!」

 私は琴美の服を脱がせる。

 彼女は恥ずかしがっているけど、気にしない。

 白い肌がどんどん露わになっていく。

 剝いていると、改めて琴美のスタイルの良さに驚く。

 肌も白いし、全部細い。無駄な肉はないのにどこもかしくもやわらかい。女の子としても、芸術としても完璧だ……。

「でも、胸はそんなないね」

「人の胸を揉まないでください!」

 私が楽しんでいると、さすがに抗議の声が上がったので放す。もうちょっと堪能したかったんだけど、さすがに嫌われそうだったのでやめた。

「採寸は以上だよ」

「……絶対採寸だけじゃなかったですよね」

 琴美が責めるようにジト目で体を隠しながら見てくる。

 いや、楽しんでるわけじゃないよ? ちゃんとやっていたから、うん。

「めっちゃ気持ちよかったよ」

「やっぱり採寸だけじゃないじゃないですか!?」

 もーと琴美は唸っているけど、ある程度は必要なので理解してほしい。

 まあ、気持ちよかったけどね。

「よし。じゃあ採寸も終わったし、色々服着よっか!」

「はあー。……もういいです」


 ――だいたい1時間ぐらい、琴美に色々着せていった。

 そこで私は改めて思う。……いや、着こなしすぎじゃない? ていうかなんでも似合うってどういうことなの?

 ジャンルの違う服を琴美に着せていったんだけど、琴美は全てを着こなした。メルヘンチックなものからかっこいいものまで。その全てが似合うとかあまりにも反則過ぎる。

 でも、そうすると何作るか迷うっていう別な問題が発生してくるんだよねー。

 しかも。

「琴美ってポーズとかも様になっているね」

「あっはい。小さいころ少しだけキッズモデルを」

「えーそうなの!? じゃあ、歩けたりするの!?」

「はい」

 そう言うと琴美は少し歩いてみせた。

 しかもただ歩くのではなく、きれいに見せるように歩いていく。

 やばすぎでは? 

 普通ヒールとか履いたりするとよろけちゃうし、それに見せる歩き方をできる高校生なんてそういない。なのにそれができる美少女って……すごすぎる。

「最高―!」

「ちょっまた!」

 私は琴美に抱き着く。

 こればかりはやめられそうにないので、琴美には慣れてほしい。そんな私のわがままに抗議の声が上がる。


 そんなことしているとあっという間に日が落ちていた。

「もう帰る?」

「そうですね。暗くなりましたので」

「送るね」

 私たちは部屋を出て玄関に向かう。

「そういえば、ご両親は?」

「ああ、多分帰ってこないよ」

「えっ」

 私の両親はファッションデザイナーとして世界中を飛び回っているため、月に一度か二度ぐらいにしか帰ってこない。

 そんな私の家庭環境を知ったからか、琴美がびっくりしながら申し訳ないように私を見る。

 いや、あんま気にしてないんだけど。

 でもそれを言ったらさらに気にしそうなので、お茶らけて言う。

「だから、泊まりたいならいつでもOKだよ?」

 私の意図をくみ取ったのか、琴美は苦笑いをしながら首を振る。

「……はいはい。泊まりたいと思ったらひかりに言いますね」

 あっ。

「呼び捨て……」

 私はびっくりして見つめていると琴美はにやりと笑う。

「あなたには、さん付けはしなくていいかと思いましたので」

 その笑顔はすごく魅力的で私の胸がトクンと鳴った。

 いや、なんで鳴ってんの!? やめろ、やめろ。

 私は動揺を悟られないようするため、琴美と目を合わすことができなかった。

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