第2話誤解

「死ねばいいのに♪死ねばいいのに♪」

僕は自分に向けての曲を意気揚々と歌う。この学校はいい意味でも悪い意味でも自由だ。廊下で寝っ転がっていたり、プロレスしてたりする。だから、この歌に気づく人は誰もいない。少し寂しいがね。そうしている内に伊藤チャンとの約束の場所についた。いつも「勘弁してくれ」と言っているが毎回来てくれる。(例え移動教室だとしても)

「伊っ籐チャン!」僕はいつも通り声を掛ける。

「うわっ!」と伊藤チャンが驚く。

は〜あ、楽しい。

「また来たのかよお前」嫌々話している雰囲気だが口と目が笑っている。僕は「うん!」と元気よく返事をしていつもの世間話に入った。クラスはどうだとか、友達はできたか?とか。僕には友達と呼べる人がクラスに居なくてそれを話すと、伊藤チャンは決まって

「はっ」と嘲笑ってくる。ムカつく。という感じを繰り返してたある日だった。

伊藤チャンが珍しく困っていた。僕は面白そうだと声をかけた。すると、思いもよらない言葉が出てきた。

「俺とお前が浮気してるって広まってる…」

「は?」

一瞬何を言っているのかわからなかった。僕と伊藤チャンが?こんな奴と僕が?伊藤チャンも深刻そうな顔している。何で?何故?わからない。他にも仲良くしている女の子は沢山いるだろうに。

「僕はレズだよ⁉︎女の子以外には恋愛感情をもてない」

「知ってるよ‼︎」

伊藤チャンは珍しく焦っている様子だった。

僕は3秒黙り考えた。そして最悪の予感が頭をよぎったのだ。

「ま、まさか彼女の耳まで…」

伊藤チャンは黙って頷いた。

あぁ…頭が痛い、凄く痛い。

その日家に帰ってからも放心状態だった

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僕と伊藤チャン すずめ @suzume0429

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