第2話 ブラッド
「おい、司。俺のこと覚えてるか?」
そう聞くと、司は一瞬考えるような素振りを見せたあと勢いよく俺を見て目を輝かせた。
「ああ、覚えているさ。会いに来てくれて嬉しいよ」
「お前俺のこと覚えてたのか!それなら、魔力とか魔王って何なんだよ!」
「ブラッド、久しぶりだな。生きていてくれて良かった」
いや、誰だよ!俺は圭人だよ!お前は何の話をしてんだ!
「おい、司。俺はそのブラッドって奴じゃなくて圭人だ、覚えてないのか?」
「フフッ、ブラッドが冗談を言うなんて珍しいな。俺を励ましてくれてるのか?」
ちげーよ!!俺は真面目に言ってんだよ!お前こそ、そんなくだらねー冗談言ってんじゃねーよ!!
はぁー、落ち着け俺。こいつは今記憶喪失だ。変なことを言うのは仕方ないことだ。まずはこいつの話しも聞いてやろう。
「なぁ司。そのブラッドって奴はどんなやつだったんだ?」
「はっ、まさかあの魔王との戦いで記憶を…俺が不甲斐ないばっかりに。すまなかった。お前は、俺と契約してたんだ。お互いに助け合うバディーみたいな感じた。それで、2人で魔王を倒す旅に出てたんだがそこで俺たちは…。ブラッド、記憶がないことを悔やむことはないぞ。これからゆっくり思い出していけばいいんだからな。2人で頑張ろう!」
壮大だな。スゲーななんか。呆れ通り越してむしろ感心するわ。てか、何故か俺が記憶喪失ってことになってるし。
コンコン
「失礼するね。あれ?君はたしか司君の幼馴染みだったかな?司君の様子を見に来たんだけどどんな感じかな?」
「明らかにいつもとは違いますよ」
「ハハッ、そうだね。頭を強く打ったようだから混乱しているんだろう。こういう時、人と関わるのは大事なことだから時間があれば、司君の話に付き合ってあげるといいと思うよ。記憶が戻るきっかけになるかもだしね」
「そう、ですか。わかりました」
「それじゃあまた来るね」
は〜仕方ない!こいつのおかしな話に付き合ってやるか!
こうして、俺と記憶喪失になった幼馴染みとの不思議な生活が始まったのだった。
記憶喪失になった幼馴染が、厨二病をこじらせてます 春白 ルナ @357159popoi
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