第151話 公開処刑
「いきなり何しやがる!おい日向、一体どういうつもりだ!?」
「問答無用」
再度、ホモ野郎に向けて放った炎の奔流はしかし、当たり前のように真っ二つに切り裂かれた。マジか、斬ったのマグレじゃないのかよ…消し炭にして証拠隠滅作戦は無理か。
「お前はここで始末する」
とはいえどうすっかな。今まで派手な魔法で戦ってきた以上、今更魔法の連射で圧倒するのも違う気がするんだよな…こいつ普通に捌き切りそうだし。そんな恰好良い事をされたら勢いあまって殺してしまいかねん。まったく…なっちゃんぽさを演出しつつ、魔弾銃で戦う。両方やらなくちゃならないのがNSCの辛い所だな!
「聞く耳もたねえってか、なら俺も容赦しねえぞ!」
まあいい。強く当たって後は流れでどうにかしよう。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
問答無用で攻撃してくる日向の攻撃を捌きながら、しかし俺の気分は高揚していた。日向の持つ魔法銃から放たれる魔法はどれも喰らえば只では済まない。下手すりゃ即死だろう。このひりつく感じは何時以来だろうな?初めて真剣で親父と対峙した時か、ダンジョンに一人で潜った時か。最近じゃついぞ味わう事のない、死と隣り合わせのこの感覚。戦いってのはやっぱこうじゃなきゃな!!
「ハハッ!面白れぇ!面白れぇなぁ日向!まさかお前がこんなにやれるとは思わなかったぜ!」
「チッ、全部ぶった斬っておいてどの口が言う」
「俺はこれしか取り柄がないんでな。魔法だろうがなんだろうが、ようはくらう前に斬っちまえば良いだけの話よ。お前こそ容赦なさすぎだろ。殺す気かよ」
「お前は殺すと言ったはず」
「なんでそんなに恨まれてるか知らねぇが…ま、それでこんな楽しい戦いが出来るなら甘んじて受け入れるのありだな。それにしてもお前、本当に面白れぇ女だよな。ここまでちぐはぐな奴も珍しいぜ」
「面白い…女?…お前…まさか両刀!?」
「ん?ああ安心しろ。俺は両刀じゃねえ。あくまでこいつ一本。太刀のみよ」
「タチ!?…駄目だこいつ、早く何とかしないと!!もう手段を選んでいられない!!」
「まだ何か隠し玉があんのか?へっ、本当に面白れぇ奴だな!」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
なんなんだこいつは!?魔法をバカスカ斬りやがって!一体どうなってんだこのチート野郎!何をどうやったら雷や風を斬れるんだよ!土手っ腹に風穴開けるつもりで使った徹甲弾擬きもぶった斬るし、なんでもありか!?くそが…上級魔法じゃ埒が明かんぞ。銃口の向きと引き金引くタイミングで射線読まれて避け始めたし…何だこの圧倒的スペックの暴力は…加えてイケメンとか爆発しろ!!しかしどうする?こうなりゃ接近戦でカタつけるか?最悪銃ごと始末して、暴発しましたてへぺろで済ますしかねえか?
自信満々にタチ宣言しやがるし、こいつは狂気が正気、つまり真性の
「お?今度は近接戦か?いいねぇ。魔法ばっかで飽きてきた所だからな。日向、本当お前は最高だぜ!!」
「今すぐその口を閉じろ変態」
「は!俺を本気で殺しに掛かってくるお前も十分同類だよ!!」
ふざけんな!俺はまともだ!!男に興味なんてねえよ!!
「しかし魔法と違って随分と接近戦はお粗末だな。なんだよそのへなちょこパンチは。猫の肉球パンチの方が何ぼかマシだぞ」
ネコ!?俺をネコだと!??もう許さん!絶対ぶっ殺す!!
「仕方ねぇな。接近戦の仕方を俺が教えてやるよ」
「必要ない。NSCは完成された戦闘術。お前に教わる物などない」
「まあそういうな…っと!?攻撃はともかく防御は様になってるじゃねえか」
ふん。接近戦で俺に敵うと思うな!
「攻撃は猫パンチ以下だが防御は鉄壁。歪にも程がある。なにをどうやったらこんな風になるんだ?」
「黙れホモ野郎。お前が知る必要はない」
「あ?いきなり何言ってやがる。なんだそのホモ野郎って」
「自分の胸に聞け。そして死ね!!」
「おい!ちょ待てよ
閃熱の零距離射撃。この距離なら流石に防ぎようがないだろ。さよなら魔弾銃。お前の事は忘れないぜ…ってはぁあああ!!??こ、この野郎…発動の瞬間に柄で銃ごとはね上げて軌道を逸らしやがった!!ざけんなボケェ!!何だその反応速度!!てめぇどこのあーちゃんだよ!!
く…くそがぁ…ぽんこつなっちゃん直接攻撃縛りだけは解除出来ないせいで決定打が…殴り勝とうものならば、このなっちゃん偽物じゃね?からの万魔央変態女装疑惑が…前門の女装、後門のホモ。どっち選んでも地獄じゃねえか!!
どうする?おそらくこいつは尻尾巻いてトンズラするようなタイプじゃないから戦闘は続行できるが…決め手がないぞ。零距離射撃で威力誤魔化して王級でカタつけるつもりだったのに…あのタイミングで防がれるなら最早自爆するしかないのでは?でもそれだと俺もダメージ喰らわなきゃおかしい感じなるし…痛いの嫌だし借り物とは言えなっちゃんの体を傷つけるのもなぁ。
「おい」
ブスッとした表情で呼びかけてくるホモ野郎。んだよ。今それ所じゃねえんだよ。お前の始末の仕方考えるので忙しいんだよ。
「おい日向。お前さっき言ったのどういう意味だ?」
さっき?死ねって言った事か?どうも何もそのまんまの意味だが。
「死んでほしいから死ねと言った。他意はない」
「そうじゃねえよ!いやそれもだけど、そっちじゃねえよ!テメェ…俺の事をホモ野郎とか言いやがっただろうが!!」
「毛利恒之はホモ野郎。純然たる事実」
「事実じゃねえよ!捏造だよ!!ふざけた事言ってんじゃねえよ!!」
「ふん。今更何を。取り繕った所でお前がホモなのは確定的に明らか。お前の言動が証明している。ホモは殺す。慈悲はない」
「何言ってんだ…つうかもしかして、俺に死ねとか殺すとか言ってたのって、それが理由か?」
「当たり前。お前のような危険人物をれーくんに近づけるわけにはいかない。天に代わってわたしが排除する」
「は?万魔央に近づけるって…お前、とんでもない誤解してないか!?」
「誤解もなにもない。れーくんに会う為だけに、横上破りしてまでわざわざ天獄杯代表に選ばれるなんて正気の沙汰じゃない。一戦交えるつもりだったとか、一体何の一戦交えるつもりなのか…考えるだけでおぞましい」
「ふ…ふざけんじゃねえ!!てめぇ…いくらなんでも言って良い事とわるい事があるぞ!!俺はノーマルだ!!万魔央の件も…まあやりすぎだったかもしれねえが、俺より強い奴と戦ってみたかっただけだ!!」
「ふん。口ではなんとでも言える。ホモでない証拠がない以上、お前はホモ」
「な…なんて奴だ…お前、他人様に冤罪吹っ掛けて、しかもそれを押し通そうってのか!?」
「冤罪というなら証拠を見せて。わたしはこの目で見たものしか信じない。お前の言動はさんざん見てきた。これを覆すにはそれ相応の証拠を提示して貰わなければ困る」
「俺はなぁ、女の子が好きなんだよ!男なんて興味ねえよ!!好きな人だってちゃんといるし!!」
「ふむ。なるほど。確かに好きな人がいるならホモではないかもしれない」
「だろ!?」
「だがその言い方では好きな人が男の人でないとは言い切れない」
「ふざけんな!お前も知ってる人だから!つか一緒にいただろ!!」
「な…やはりれーくん」
「違うっ!!俺が好きなのは!北条紗夜さんだぁぁあっ!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます