第111話 関東探学
「さあ、皆さん大変お待たせしました!この為に見ていた方も多いのではないでしょうか!大トリを務めるのは関東探学!満を持しての入場です!!」
「歓声が凄いね。これ天獄郷の人たちがかなり来てるんじゃないかなぁ。天獄ドームが満員なんて今までなかったからね」
「そうですね。これまでは皆さん自重されていましたが流石に今年は無理だったようです。私も気持ちは分かります!」
「魔央様はおられないようだけどね。どこかでご覧になっててもおかしくないけどね」
「魔央様がおられないのは残念ですが、それでもやはり関東探学は特別といって良いでしょう!そう、なにも魔央様の為だけに皆さんTVを見ているわけではないはずです。何故ならば!関東探学の代表にはあの!アレナちゃんねるの皆さんがいらっしゃるからです!!」
「魔央様の姉君である天月ありす様と、鏡花隊長のお弟子さんの星上レナさん。そして万生教で一番人気の日向奈月さんだね」
「そうです!まさかナツキちゃんを生で見る機会が訪れるとは!私感激です!!小さい!可愛い!!この大観衆の中でも堂々と歩くその姿!!しかもあれは!?ナツキちゃん達が来ている服、黒巫女用の服じゃないですか!!」
「万魔様から貰ったらしいよ。彼女たちは天獄杯PT戦の1年代表だから、あれを着たまま戦うんじゃないかな」
「もしそうなら凄く楽しみですね!PT戦の代表という事なら、彼女たちは三人PTなんでしょうか?」
「4人PTだよ。後一人はほら、黒巫女の服着てる子がもう一人いるでしょ。あの子が最後のPTメンバー、矢車風音さんだ」
「矢車風音さんですか。私たちにとってはもの凄く馴染みのある名前ですが…あれ?私の見間違いでしょうか。あそこでナツキちゃん達と一緒に行進しているのは万魔十傑衆八席の八車風音さんと良く似てますね」
「似てるもなにも本人だからね」
「そうなんですか!?なんで八車さんがあそこにいるんですか!?」
「風音も関東探学を受験してね、合格したんだよ。ちなみに魔央様と同じクラスだよ」
「それはつまり、ナツキちゃん達とも同じクラスという事ですか!?な、なんて妬ましい…!こ、こんな事が許されて良いんでしょうか!!」
「そうは言っても、魔央様と同年齢が風音しかいなかったから仕方ないよ。それに風音も遊んでるわけじゃないよ?魔央様ファンクラブの会報に載ってる写真とか全部風音が撮ってるんだよ?北条との決闘の際も色々役に立ったみたいだし」
「そうなんですか?確かに魔央様のお側に誰も居ないというのは由々しき事態ですし…ですが納得しました。なぜ八車さんだけ雌豚だなんだのと出所不明な噂話があるんだと疑問に思ってたんですが、この件が原因だったんですね」
「敢えてノーコメントとさせて貰うよ。なんにせよ風音の役目は魔央様と周りにいる人達のサポートだからね。良好な関係を築けているようで安心したよ」
「八車さんなら足を引っ張るような事もありませんし、そこは安心して見ていられますね」
「風音は個人戦にも出場するからね。北陸探学の時にちょっと触れたけど、伊達梓さんと当たれば弓対決になって面白そうだから是非とも実現して欲しいね」
「学生生活を満喫しているようで大変羨ましいです。とりあえず八車さんの件は置いておきましょう。さて、奈月ちゃん達の様子ですが…おや?ありす様が観客席の方に手を振ってますね。誰もが自分に振ってくれていると思って手を振り返しているのが見ていて面白…あれは!?カメラさん!ありす様が手を振っている方向の最上段付近をズームアップしてください!!早く!!」
「いきなり興奮してどうしたの?」
「ああ!やはり!!魔央様です!!万魔央様が観客席最上段にいらっしゃいます!!どうやらありす様は万魔央様に手を振っていらっしゃるようですね!周りの人たちは気付いてないようです!」
「なんで観客席に…」
「てっきり万魔様と一緒におられるかと思ったのですが、まさかの観客席でのご観覧です!これは嬉しいサプライズですね!!来郷されているとは聞いていましたが、百聞は一見に如かず!こうしてご本人がいらっしゃる所を見て実感出来ました!!本当にいらしてるんですね!!」
「とりあえず、現地の万生教徒は迷惑を掛けないようにね。最後列にいらっしゃるという事はお忍びだろうから」
「まさかナツキちゃんだけでなく万魔央様まで見る事が出来るとは思いませんでした!私はもう大・満・足です!!」
「カメラの人もいつまでも映してちゃ駄目だよ。一応この番組は天獄杯なわけだし」
「…大変お見苦しいものをお見せしてしまいました。興奮のあまり我を忘れてしまいました。では六角さん。生徒さん達の入場行進も終わりそうですし、関東探学について一言御願いします」
「そうだね。今年の関東探学は驚くべきことに個人戦代表に1年生が3人も出場するんだよ」
「個人戦に1年生がですか?毛利恒之さんが中国探学で代表になった事はお伝えしましたが、関東探学でもですか」
「そうなんだよ。しかも関東探学はベスト4中に人が1年生なんだよね」
「え?それって関東探学の質が落ちてるとかそういう話ですか?」
「質が落ちてるというよりは、残った3人が凄いんだろうね。ちなみに優勝したのは風音だよ」
「八車さんは万魔十傑衆八席ですし当然でしょう。むしろそうでなければ万生教の沽券に関わります」
「ありす様もその内の一人だよ。準決勝で風音に負けちゃったけどね」
「空気を読めと言いたい所ですが、手加減して負けるようではそれこそ恥晒しです。ここは八車さんの健闘を讃えるべきですね。となると後一人は誰なんでしょう。この流れからすると無常様のお弟子さんである星上レナさんでしょうか?」
「レナさんは残念ながら初戦で風音と当たって負けちゃったんだよね。当たり方次第では個人戦代表の目もあったみたいなんだけど、こればっかりはね」
「八車さんが万魔央様の関係者の方達を2タテですか。複雑な気分です」
「風音も十傑衆としての矜持があるからね。そうやすやすと負けるわけにはいかないよ」
「そうですね。こうなった以上、今年の天獄杯個人戦、是非とも八車さんには優勝して錦を飾ってもらいましょう!!」
「風音は十傑衆である事を隠して関東探学に通ってるから注意してね。バレたらバレたで問題はないんだけど、一応ね」
「確かに十傑衆が天獄杯に参加するとなると、忖度だ依怙贔屓だと五月蠅い輩が湧いて出ないとも限りませんからね!ちなみにですが、矢車さんは関東探学を正規の手順で受験して合格していますので、何ら問題ない事をお伝えしておきます」
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