配信回5
「初めての人もそうでない人も、来てくれてありがと~!アリスだよ!」
「皆さん来てくれてありがとうございます。レナです」
「来てくれてありがとう。ナツキです」
《あれ?配信が急に始まったから見に来たけど、今日予定あったっけ?》
《何々、いきなり配信始まったんだけど》
《あれ、全員揃ってない?いや揃ってた方がいいんだけど》
「今日の配信は、ゲリラ配信になります」
「報告する事もあったから、今日配信する事にした」
「私は別に良いって言ったんだけどね。折角だから配信しようってなったんだよ」
《報告?一体何の?》
《彼氏が出来た報告だろ。律義な所が好感持てる》
《ふざけんなそんな報告聞きたくねえよ!》
《突発的に報告する事なんて厄介事以外ないと思うんだが》
《北条を思い出すな…もしかして他の禁忌領域勢とまた揉め事とか?》
「皆さん気にしてますし、報告を先にしましょうか」
「アリスとレナが、夏休みに天獄郷で行われる天獄杯の代表に選ばれた」
《…まじで?》
《天獄杯ってあの天獄杯?全国の探学が集まって試合するあの?》
《え、アリスちゃんとレナちゃんって1年だよね?凄くない?》
「正確には1年の代表PTに選ばれました。メンバーは私とアリスとナツキと、もう一人ですね」
《なんだ、ナツキちゃんも選ばれてるじゃん》
《アリスちゃんとレナちゃんが個人戦代表に選ばれたと思ってビックリしたよ》
《1年生の代表PT戦なら十分あり得るか》
《でもナツキちゃんがいて代表PTに選ばれるって凄くね?》
《ナツキちゃんは戦えないからな》
「確かに私は戦えない。でも私はいる事に意味があるってれーくんが言ってたから問題ない」
《確かにマスコットは必要だよね》
《チームカラーだからな。むしろそれが本命まである》
《ぽつんと何もせずに立ってるだけの小さな女の子を狙える奴が果たしてどれだけいるのだろうか》
《そういう意味では役に立ってるのか?囮的な意味で》
「私も代表になれるとは思ってなかったけど、私たちと一緒に組んでる子が強いからっていうのが一番の理由なのかな?」
「そうですね。彼女がいなければ負けていたかもしれませんね」
《良かった。後一人は女の子だったのか》
《男が組めるわけねえし、そもそも組めそうな奴は一人しか思い浮かばないんだが?》
《止めて下さい死んでしまいます(大会が)》
《子供の喧嘩に万魔様が出張ってくるようなもんだし、流石にそんな大人げない事しないだろ…しないよな?》
「その子、個人戦で優勝したんだよ。凄いよね」
《まじで?》
《え?1年で個人戦優勝?やばない?》
《その子、名前に万や魔の字がついてるんじゃ…》
「ちなみにアリスはその子に準決勝で負けた」
「私なりに頑張ったんだけどねー、勝てなかったよ」
「レナは初戦でその子と当たって負けた」
「来年こそはリベンジしたいと思います」
《準決勝敗退って事はアリスちゃんも天獄杯個人戦に出るのか》
《こうしちゃいられねえ!今すぐ天獄郷の旅館を予約しないと》
《夏休み中の天獄郷の宿なんて今から取れるわけねえだろ》
《夏だしキャンプがてら野宿でもしてろ。治安は良いし死にはしないだろ》
「ちなみに今年の個人戦代表に1年生は3名選ばれています。後一人は男の子です。決勝戦は1年生同士の戦いだったので、先生や上級生の方達も驚いてましたね」
《1年同士で決勝とかやばない?2年と3年の立つ瀬がないな》
《上級生が弱いというより、今年の関東探学の1年がやばいだけなのでは》
《今年に入って立て続けに起こる異常。これは全部万魔央ってやつのせいなんだ》
《あながち間違いじゃなさそうだから困る》
「報告は以上になります。天獄杯は頑張りますので、よければ応援お願いします。それでは本日のメインイベントです」
「今日は7月7日」
《そうだね、7月7日だね》
《ちゃんと暦が分かるナツキちゃん偉い!!》
《これが出来る女ってやつか…》
《これほどまでの忖度、中々お目にかかれないぜ》
《年中無給の俺には暦なんてあってないようなもんなんだよなぁ》
《無休じゃなくて無給かよ、ただのニートじゃねえか》
《箸を転ばしても褒められる年頃》
「今日はアリスの誕生日」
《!?!?》
《まじで!!?》
《うおおおおおお!!アリスちゃん誕生日おめでとう!!!》
《おめでとう!!!》
《祝え!我らの女神の生誕日を!!7月7日はこれからは女神聖誕祭だああああ!!》
《前もって言ってくれてたら誕生日プレゼント用意してたのに…》
《残念ですが手作りの誕プレはNGなので事故処理お願いします》
「えへへ、みんなありがとー。今日で私は16歳だよ!」
《7月7日が誕生日か~。なんか浪漫を感じるね》
《おかしいな。7月7日と言えば俺とアリスちゃんが1年に1度会える日の筈なんだが》
《お前とアリスちゃんの間に流れてるのは天の川なんてロマンティックな川じゃない。現実という名の残酷な大河だよ》
《増水しすぎて渡ろうとしたら溺死まったなし。ネットの海で溺死しろ》
《7月7日はお祝いイベント目白押しだな。七夕に天神囃子にアリスちゃんの誕生日か》
《天神様もアリスちゃんの誕生日を祝っているのかもしれないな。神にすら祝われる存在か》
「天神囃子か~。ニュースで見たけど、今年も凄かったらしいね」
「一度くらいは見に行ってみたいけど時間が悪い」
「日付が変わると同時に始まるんだっけ。一度見に行きたいっておねだりしてみたんだけど、れーくんは危ないから駄目って言うしさ。誕生日なのに毎年1日中寝てるんだから一緒に行ってくれてもいいのに」
《俺近くに住んでるから毎年見てるけど、生で見ると凄いよ。禁忌領域から火柱や氷柱が突き出したり、竜巻が起こったり岩とか降ったりするからね。もう意味が分からない。爆発音とか凄いし》
《何それやばない?どんな地獄だよ》
《でも禁忌領域外に被害はないんだよね。最初はみんな祟りだなんだで怖がってたけど、今はもうすっかり慣れて深夜にも関わらずお祭りと化してる。なんせ五月蠅くて寝れないからな。お陰で7月7日は休日だぜ》
《超常現象が花火代わりってか》
《呑気なもんだな。原因すら分かってない現象だろうに》
《むしろ原因が分からないからこそ楽観的に考えなきゃやってられないし、何か起こった時の為に休日にしてるんじゃ。領民と違って守護職の人達はピリピリしてそう》
「でも不思議だよね。ずっと前からあるわけじゃないんでしょ?」
「初めて観測されたのは七年前だそうですね。今に至るまで、なぜ天神囃子が起こるのか原因不明だそうですから、考えても仕方ない事なんでしょうが」
「七年前か~。その頃だとれーくんが引き籠って独り暮らし始めた頃だね。あの時は大変だったよ」
《なるほど。私分かっちゃいました。天神囃子は万王様の引き籠りが原因だったんだよ!》
《な、なんだってー!!》
《引き籠りを部屋から引きずり出す為の愛の鞭が天神囃子だったとしたら全ての説明がつくとは思わないかい?》
《天災現る》
《あるあ…ねーよwwもしそうなら原因、万魔様になっちゃうんだけど?》
《いい加減外に出ろ馬鹿弟子!って感じで帝級魔法ぶっ放しまくってるわけか》
《放っとけ糞師匠!!って感じで反撃して、年々過激化してるのか》
《北条の決闘の時に見た規模の魔法が飛び交うわけか…控えめに言って地獄ですね。世界の終わりかな?》
《なんで二人と何の関係もない東海禁忌領域で師弟喧嘩してるんだよww》
「うーん…れーくんは東海禁忌領域滅茶苦茶嫌ってるからね。それはないんじゃないかな」
「そうなんですか?位置的には関東禁忌領域と似たような距離ですけど」
「関東は動物型のモンスターだけど、東海って昆虫型でしょ?生理的に受け付けないんだって」
《まさかの弱点発覚》
《おいおいおい、万魔央討伐の方法分かっちゃったんだけど》
《まさかの身内暴露、これは想定外すぎる。しかもアリスちゃん発言だから怒るに怒れないぞ》
《万魔央も人の子だったという事か》
「キショすぎるから、昆虫型モンスターは見かけた瞬間消し炭にするって言ってたね」
《やってる事が北条相手にした時と一緒なんだが?》
《つまり北条は昆虫型モンスターだった?》
《なるほどね。生理的に受け付けないから虫ケラ扱いしたというわけか。むしろない方がいい弱点じゃねえか!》
《それ弱点じゃなくて沸点なんだよなぁ》
《関東選んだ理由が禁忌領域の特性じゃなくてモンスターの種類とはね…北条さんドンマイです!》
「動物型のモンスターも消し炭にしてるけどね」
《どっちみち消し炭にするんじゃねえか》
《敵対したら消し炭になるって事でいいんですか?》
《求)モンスターの綺麗な倒し方》
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