第63話 代表PT選考会開始

『さあ、遂に始まりました!全国探索者養成高等学校総合技能演習大会・代表選考会PT部門!進行・実況役は私、放送部部長・鴨下美紀が務めさせて頂きます!そして審判は1年A組担任、皆様ご存じ!クールビューティー!雑魚な男に興味はない。私が欲しければ力尽くで組み伏せてみろ!万魔十傑衆筆頭・無常鏡花先生。解説には邪魔する者は誰であろうと排除する。俺の引き籠りライフを邪魔するな!傲岸不遜の最強魔王・万魔央様を交えてお送りいたします!!』


『…よろしくお願いします』


『おや、魔央様なにやら元気がないですね。どうされましたか?』


『いや…何なんですかこれ』


『なんでも何も、試合実況ですが!魔央様も観戦されるとの事で、どうせなら解説役を頼めないかと天月さんに相談してみたら、二つ返事で引き受けてくれました!!』


『そうですか…あーちゃんは後でお仕置きですね』


『仲が良くて羨ましい限りです!私もそういった人が欲しい!!誰でも良いです。私を天獄郷に連れてって!!それはそうと魔央様、豪華天獄郷2週間旅行ですが、具体的にはどのように豪華なのでしょうか。差し支えのない範囲で教えて頂ければ助かります』


『この場にいる間は一生徒ですので僕に配慮する必要はありませんよ。畏まられるのは苦手なんですよね。それに気にくわなければ無視するだけですし。基本的には北条との決闘の賭けイベント時の報酬と変わりません。ただし人数が人数なので黒巫女さんが専属でつくのは、代表PTと個人戦代表に1名ずつとなります』


『なるほど!確かに最大人数で136名が参加するわけですから、とてもじゃないですが手が足りませんね!』


『そうですね。まあ実際はPT戦と個人戦両方で資格を得る人もいるでしょうし、そこはまぁ、個人戦オンリーの人に頑張って下さいとしか言えませんね』


『個人戦代表になれば、専属で黒巫女さんがお世話をしてくれるというのであれば、間違いなく熾烈な争いになるでしょう!!』


『恋と戦争にルールはないと言いますが、これはあくまで学校行事です。そこを踏まえた上で健全な試合をしてもらいたいですね』


『という事です皆さん!当たり前ですが対戦相手に下剤を盛ったり、脅したりといった卑怯行為は処罰の対象になるので注意してください』


『そうこうしている内に選手が試合会場に現れました!最初に入場したのは1年B組!チーム・サン&ムーンです!このチームは全員アレナちゃんねるの大ファンだそうです!そしてなんと!リーダーである木下君は、アリスちゃんの大ファンだそうですよ!ちなみに中学も一緒だったそうです』


『わざわざ探学まで追っかけて来たんですかね?運で入れるような学校ではないので、相当な努力をしたのではないでしょうか』


『おや、てっきりストーカー野郎が!とキレ散らかすと思ったのですが、意外と万君冷静ですね』


『僕はあなたの発言にビックリなんですが』


『私にとってはこの実況こそが檜舞台ですので!選手の皆さんが代表を勝ち取るために全力を尽くすのならば、私はこの実況に命を懸けてます!!』


『…まあいいですけど。さっきの質問の答えですが、これは身内贔屓でも何でもなくて、あーちゃんって凄く可愛いでしょう?その辺の人が大根に見える位には』


『大根云々は置いとくとして、確かに天月さんはとんでもない美人ですね!雑誌のモデルやら何やらでスカウトされてないのが不思議なくらいです。女の私でも気を抜くと見惚れてしまいますし』


『そうでしょう。あーちゃんには僕謹製の美容魔法を施してますから、太刀打ちできる人はまずいないと自負しています。あ、ちなみに整形とか魅了とか、そういった類の魔法ではないですよ。あくまで本人の魅力をより引き立てているだけです。しかも性格も分け隔てなく明るいでしょう?あーちゃんを見たら、男子が好きになってしまうのはある意味当然の事なんですよ。それに一々目くじらを立てるようなら、それこそあーちゃんを監禁するか街中の男を根絶やしにするしかありません』


『唐突に不穏な空気が漂い出しました!それはそれとして万君謹製の美容魔法と言うものに凄く興味があるのですが!!』


『残念ですが、今の所あーちゃん以外に使う予定はありませんね』


『それはとても残念です!次回のイベント報酬に選ばれることを期待します!つまり万君としては天月さんに知らない男が近づいても特に問題はないという事でしょうか?』


『本人が嫌がってないなら良いんじゃないですか。嫌がってるのに近づいた奴がどうなるかは皆さんご存じだと思いますけど』


『そうですね。バカ殿…大道寺満君がどういった目に遭ったかは皆さんの記憶にも新しいと思います。注意する必要もないでしょう!そして…本人が嫌がらなければOKという事は…もしかしてデートのお誘いや告白なんかしても許されるという事ですか!?』


『本人がOKしたら良いんじゃないですか。可愛い女の子に優しくされたら、勘違いしてしまうのは男の悲しい性と言えるでしょう。僕も一人の男ですから野暮な事は言いません。むしろ次の恋を見つけるために、吹っ切る為にも告白するのを推奨します』


『という事は、万君も可愛い女の子に優しくされたらコロッといっちゃったりするんですか?ちなみに私なんかどうですか!?』


『そうですね…あーちゃんと見つめ合って、先に目を逸らさない程度に自信があるなら可能性はあるんじゃないですか』


『生徒の皆さん。どうやら万君に色仕掛けは通用しそうにありません!!しかし側にいるからこその余裕なのか、万君の大胆不敵な発言が飛び出しました!これは木下君チャンスじゃないですか!?ここで1年A組を打倒して、その場の勢いで天月さんに告白すればワンチャンあるかもしれません!!』


『中学でも凄かったらしいですからね。ところでその木下君が蹲って頭を抱えているんですが…もう試合が始まりますけど大丈夫でしょうか』


『入場した時はやる気満々だったのに一体どうしたんでしょうか?大事な舞台に向けて体調を整えるのも大事な仕事です。その点、彼はちょっと認識が足りてないと言わざるを得ません。クラスの皆さんも不安に思っているでしょう』


『あなたの大衆の面前で色々ぶっちゃけた発言でダメージを負ったと思うんですけど』


『さあ!続いて入場するのは1年A組!チーム・万王様親衛隊です!皆さんご存じ!アレナちゃんねるで御馴染みの方も大勢いらっしゃるでしょう!天月ありすさん、星上レナさん、日向奈月さん。そしてクラス委員長の矢車風音さんの美少女4人PTでの参戦です!おや?天月さんが顔を真っ赤にしてますね。彼女も体調不良でしょうか』


『朝の時は元気でしたけど。それよりもあーちゃんが大鎌じゃないですね。どうしたんでしょうか』


『天獄杯のように致命傷を負っても大丈夫な結界魔法具はありませんので、選考会に関しては武器は学校の指定した物から、防具も探学の制服で行う事になっています。天獄杯では優れた武具を用意できるのも強い探索者の条件という事で、制限はありませんが』


『そうなんですか。それはちょっと可哀想ですね』


『使い慣れた武器じゃない事で天月さんは緊張してるんでしょうか』


『相手も同じ条件なら、誰のせいでもありませんね。先にご愁傷様と言っておきます』


『さあ、この試合で勝利した方が豪華旅行への切符に一歩近づきます!負けられない戦いが此処にある!勝利に一歩近づくのは果たしてどちらか!それでは注目の初戦、万王様親衛隊vsサン&ムーン。両者尋常に勝負!探学ファイト、レディー・ゴー!』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る