第47話 決闘…
【万魔央vs北条一門決闘会場・実況解説席】
―我々は、一体何を見ているのでしょうか。実況の身でありながら…すいません、これをどう表現すればいいのか、言葉がありません…
―これは…これほどとは…万魔様は、この状況を予想しておられたのですか?
『言ったじゃろ、北条が哀れと。それが答えじゃ』
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【万魔央vs北条一門決闘会場・アレナちゃんねる】
《すまんな北条。お前ら笑った事謝るわ》
《俺も謝る。それはそれとして見たらまた笑うだろうけど》
《この落差酷すぎない?喜怒哀楽、人の本気の生死が全て詰まってる感動スペクタクルになっちゃった…》
《そりゃ北条あれだけ煽るわ禁忌領域守護職馬鹿にするわ好き勝手やれるわけだ》
《見る目がなかったのは万魔様と万生教、アレナちゃんねる以外の全員だな。俺達揃って愚かすぎた》
《ヤッバ、これワイドショーの奴ら明日からどうすんの?つうか万魔央を非難してた奴ら大丈夫か?お前ら明日から生きていける?》
《お前こそ大丈夫か?その天災を呼び捨てにしてるんだが》
《口は災いの元、はっきり分かんだね。災いが口を持った存在以外は好き勝手言っちゃダメだって勉強になったな!!》
《魔央様ありがとうございます!賭けたお金が3万円になって帰ってきました!あとは北条をサクッと倒して俺を天獄郷豪華4泊5日ツアーに連れて行ってください!》
《おいもう勝った気になった奴いるぞ。まあこれでどうやって負けるのかって話だけど》
《かれこれ1時間。いい加減起きて欲しいんだが》
「れーくん起きないねー。代り映えしないからちょっと飽きてきちゃった」
「はぁ…シマちゃん可愛い♡れーくんのお腹に乗って蹲って寝てる姿がぷりちーすぎる♡」
「あなたたち…いえ…(これが極点ですか…師匠、あまりにも遠すぎます…)」
《アリスちゃんとナツキちゃんに癒されるんじゃあああ》
《ポンコツ属性最高だな!全ての嫌な現実から目を逸らせるわ》
《レナちゃんだけ遠い目で一人シリアスしてるぞ》
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
…ふぁああ…ぁあ、よく寝た。やっぱ二度寝は最高だな。寝たのは…1時間くらいか。惜しむらくは二度寝はすぐ起きちゃうのが難点だな。ん?シマちゃんも寝てるじゃん。北条があまりに雑魚過ぎて飽きちゃったのかな。まあいいや、起こすの可哀そうだしベッドに置いておこう。マジックバッグから飲み物を取り出して喉を潤して一段落。んで、今どうなってんの?
寝ている間に流石に発見はしたのか、北条の奴らが俺の周囲を囲っている。ふむ…地面に横たわってる女性が居るな。眠たかったのかな?睡眠は大事だよ。蹲って泣いてる奴もいるが…糞教師か。それになんだよ、元凶の三人とも揃って地面で呆けてるじゃん。こいつら何しに来たんだよ。もっとやる気出せよ、気合入れろよ。
なんか北条のおっさん共が喚いてるし…聞こえん。寝るのに邪魔だから遮音結界張ってたわ。とりあえず解除するか。
「―――――つもりだ!!」
「ああすまん、寝る為に遮音結界張ってたんだわ。もう一回言ってくれるか?」
「貴様!これは一体、どういうつもりだと聞いている!!」
「これは生死を賭した決闘だぞ!それをあろうことか…ね、寝るだと!?馬鹿にするのも大概にしろぉ!!」
「どういうつもりも何も、お前らに聞いたよな?二度寝しに帰っても良いですかって。お前らが駄目だって言うから仕方なくここで寝てただけじゃねえか」
「ふざけるなぁあ!どこまで我らを…決闘を愚弄すれば気が済む!!」
「ふざけてねぇよ。二度寝させてくれてたらこんな事してねえよ。シャワーも浴びてないから眠気取れてなかったしさ。遅刻しても問題なかったんだろ?ならシャワーや二度寝する時間くらいくれよ。あれも駄目、これも駄目なんてお前ら北条はそればっかりだな」
「…っふぅ…皆静まれ。まあいい、起きたという事は、決闘するという事でいいんだな?」
「まあそうだな。決闘するって約束だからな。俺はお前らと違って約束は守るから。いいよ、決闘しよう。とは言え…」
北条の連中をぐるっと見渡す。
「俺が寝てる間、お前ら俺に攻撃せずにずっと待っててくれたの?それなら悪い事しちゃったな。起こしてくれたら良かったのに」
ッギリッっと、歯を磨り潰す様な歯軋りが全方向から聞こえた。
「ああ、正々堂々ってやつ?寝てる奴には刃を向けられない的な?流石北条、自らの出自を誇っているだけはあるな!寝ている奴に攻撃するなんて、武士の風上にも…いや、人として失格だよなぁ。そんな奴が領域守護とかマジありえんわ」
「死ねぇええええ!!!」
おっさん連中が息を揃えて八方から斬り掛かってくる、が、俺の体に触れるより先に刃が砕け散った。
「おいおい、人が話してる途中だぞ。北条では人の話は聞かなくてもいいと教えてるのか?随分とユニークな教育だな」
周囲には折れ、ひしゃげ、砕けた大量の武器の破片。地面は既に周囲一帯草一本なく、地肌がむき出しになり、抉れ、一部高温によりガラス化している場所すらある。
「ふん…相当派手にやったみたいだな。俺が寝てからざっと1時間。ひたすら攻撃し続けたか」
一歩踏み出す。
「どうだった?どうにもならない壁を前にして。そこのゴミ三人と同じ様に心が折れてないだけ、おっさん連中はマシな方か」
また一歩。
「ちなみにこの防御を突破出来たら、引き分けの演技をしてやろうって思ってたんだが…まぁ案の定無理だったな」
おっさん連中が俺の周りをブンブン跳ね回って斬り掛かってくる。ウザい。どれだけ武器持ってきてんだ。
「ま、1時間ずっと泣きべそ掻きながら必死に刀振って魔法使ってたんだろ?配信視てる奴らも、お前らの御遊戯会を見て、なんか凄そうくらいには思ってくれただろうし、可哀そうだから何とかしてあげてって同情してるんじゃないか?」
北条当主の前で止まる。
「ここで全員土下座して、すいませんでしたって謝れば許してやるよ。二度と俺たちに関わらないことを条件にな。ま、禁忌領域での奴隷化は…戒めとして子々孫々語り継げ。万魔を名乗る存在に歯向かう事への愚かしさの教訓としてな。俺を悪鬼に仕立て上げて憎悪で食い繋げば…まあ、頑張れば300年間保つんじゃね?」
ああ…まじでブンブンうっせえなこの連中、無駄だって事がわかんねえかな。
「さぁどうする?返答を聞かせてくれ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます