第15話 終局

 開いたシャッタから照らされるライトの中から、あまり見たくない制服の人たちが現れた。

「ここは完全に包囲されている。武器を捨てて大人しく投降するように」

「こいつらが、関西から逃げてきた犯罪者集団ですか」

「そうだ。黒いのは特殊詐欺の首謀者。ほかは傷害などの叩けば埃が出るような奴らだ。組織的な暴行グループ、いや殺し間でやっているかもしれない。少なくとも凶器携帯と暴行未遂にはなるだろう」

 観念したのかと思ったら、奴らが急に襲い掛かってきた。だが、警察官はそれにも勝る素早さでまえに出て、一気に制圧した。そして、黒服も手錠をかけられて連れて行かれた。俺たちと目が合うと、紺のジャンバーの男に向かって叫んだ。

「お前、何なんだ!」

「黙れ、係長、失礼しました」

「ああ、構わない」

そう言って近づくと

「お前みたいなクズがいることが分かって、警察官になっただよ。いまは捜査2課8係の係長だ。ちょうどこいつから闇バイトの首謀者がお前と聞いてわざわざ出向いたのさ」

「馬鹿な奴だな。大人しくしていればよかったのに、俺を嵌めようなんてするからこんなことになるんだ。出て来ても同じことするんだろう。同じように潰すから」

黒服は罵声を叫びながら車に連れて行かれた。警察官が去ると、俺たちは三人で残った。みな無言だったが、しばらくすると、車が迎えに来た。

 出て来たのは昌さんだった。

「久しぶりだな、お前はヤクザになったのか」

「まあ、そんなもんだ。あんたとは表立っては会えない立場だ」

「相変わらずつるんでいるんだ」

「そうでもないが、町が騒がしいので、相談はしたが」

「アキラ、お前どうせろくでもない事、裏でしていたんだろう。聞かないけど、あんまり変なことするなよ」

「ああ、俺は真面目な一市民だから心配しなくても良いよ」

紺のジャンパーは

「じゃあな」

と手を振って歩いて行った。

「ありがとう。大捕り物楽しかったよ」

先輩がお礼を言うなんて、まれだからびっくりした。

 昌さんの車で、いつもの喫茶店まで送ってもらった。

「お前も大変だったな。アキラに目を付けられたのが運の尽きだな。アキラまたな」

と言って去って行った。

「じゃあ、これで」

と去ろうとすると、喫茶店に引きずり込まれた。相変わらずのクリームソーダーを頼み

「面白かっただろう」

「いや、正直怖かったです。警察の人とも仲いいんですね」

「まあな」

「いい勉強になりました。変な欲はかかず、大学生として真面目に勉強します」

「うん、馬鹿大学でも勉強は出来るからな。お前も少しは賢くなったか」

「そうなればいいと思います」

「まあ、ご苦労さん。これはバイト代だ」

「え、今日は見ていただけですよ」

「時間を拘束しただろう」

分厚い封筒が差し出された。数十万下手したら100万円位入ってそうだ。

「あ、ありがとうございます。そうだ、今回使った道具類お返ししないと」

「いいよ、もっとけ」

「でも・・・」

「また連絡するから」

 いつものように悪魔のような笑顔で言った。

 俺は、アキラ先輩からは、もう逃げることはできないのであろう。


                 了



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漆黒 りゅうちゃん @ryuu240z

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