第11話 久しぶりだな

 「じゃあ、任せますね」

と紺のジャンバーに言って、先輩は一歩下がった。

 「すぐ終わらすなよ。ゆっくり痛めつけてくれ」

黒服の男が言うと、大型のスパナを持った奴がこちらに進んできた。格闘技のことは分からないが、隙も無く、足音さえさせずに進んでくる。しかも、何とも言えないような威圧感。心臓が爆発しそうだ。

「まあ、見とけ」

と先輩に肩を叩かれた。

 あと数メートルと言うところで、いきなり男が倒れた。一瞬で紺のジャンバーが間合いを詰めて、何かしたようだ。恐らく打撃だろうが、あまりの速さで分からなかった。

「さびしいな、俺の顔は忘れたのか。忘れられない様にあばらの二、三本折っておけばよかったか」

「お前が、なんでいるんだ!くそ、まだつるんでいやがったのか」

余裕ぶっていた黒服が、いきなり怒りを顕にした。

「もういい、こいつら三人ぶっ殺せ」

と言った瞬間。倉庫のシャッターが開いてまばゆいライトが照らされた。


 



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