第8話 日々雑事多忙
朝から大学に行き、夜は闇バイトの調査。授業もかなり進んでいて、ついて行くために図書館に通いつめたりして、なかなか忙しい。今までは漫然と聞いていた授業だが、今回の件で、回路設計やプログラミングは役に立つことが分かったし、闇サイトも英語が出来ないと苦労する。無駄だと思っていた授業も、俺が無駄にしていただけで、有効活用出来ていなかったし、学んだことを有効活用する意識が無いといけない。なんて殊勲なことも考えたりしないでもないが、勉強が楽しくなったのは確かだ。図書館に通い詰めることで、常連の仲間入りをすると、学部も学年も違う人たちと友人になった。ちょっと変わった人たちだが。先輩の様に優秀な人間は、Fランだけにいないが、一つの分野に限れば勝るとも劣らないようなマニアが多い。試験期間でもないこの時期に図書館に通うのは、自分で学びたいことがある連中だからだ。
その中でも諒ちゃんと呼ばれている人がいて、同じ2回生だが、年齢不詳。校内の噂話などに精通し、いろいろなネットワークも持っている。かなりの苦労人と言う噂があるが、いつも教室か、図書館か、雀荘もしくは飲み屋のいずれかにいて、バイトしている様子は無いが、金には困ってないようだ。Fランには珍しく、「金払って学校言っているのだから、その分の知識を吸収しないと損だろう」とよく言っている。それは学問に限らず、学生生活や、社会活動、アンダーグラウンドなものまで興味をひろげている。よく、俺は馬鹿だからと言っているが、いろいろなことをやりすぎて、しかも興味あるものに特化するから、他人から評価されないだけで、こんなところにいるような人ではないような気がする。諒ちゃんとは、アキラ先輩も巻き込んだ大事件にかかわることになるがそれは別の話。
諒ちゃんから聞いた話だと、うちの学校も闇バイトに手を出す奴が出てきている。Fランらしく、学生の中にはDQNみたいのも居るので、その中でも、卒業も絶望的な奴らが校内で闇バイトを募集していた。気弱な学生を見つけて、無理やりバイトさせようとしたけど、学生課に相談されて、警察沙汰になって退学したとのこと。個人情報だが、退学になった奴の同じ学部の雀荘仲間から、名前と住所も聞きだしていた。しかも、そいつが闇バイトに手を染めた経緯も自慢げに話しているのを聞いていた。
その中身はタタキの犯人と似たような話であった。違法カジノで黒服の男に誘われたらしい。但し、内容は運び屋だった。闇サイトで人を集めようとしたが、人を集集めることが出来ずに学校で人を集めようとしたようだ。捕まればすぐ足がつくのに。やはり、Fランの中でも最下層、馬鹿すぎる。諒ちゃんにはお礼と共に、落ち着いたら詳しく教えると言って別れた。
何かしら、見えてきたような気がする。単純に闇バイトが勃発しているのではなく、全てとは言わないが、かなりの部分で繋がっているのでは無いだろうか。それが先輩の狙いでは。闇バイトの応募状況と合わせ、先輩に仕入れた情報を報告したが、当然のように答えは教えてくれなかった。
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