第2話 屑石《チャクル》
チャクルの番が来るのは、いつも一番最後だ。それも、ほかの子たちのように褒めていただけることはなく、カランクラル様はチャクルを見下ろして首を傾げられるのだ。
「お前はやはり、成長が遅い。私の
「も、申し訳ございません……」
カランクラル様は、責めている訳ではない。純粋に不思議に思われているだけのようで──だからこそ、より辛くて悲しい。肩を流れる
ほかの
「チャクルに御方様の御力は、もったいないです!」
「
みんな、あわよくばチャクルの分の
それは、
(でも、みんな寄ってたかって……)
屑石の身で口答えなんてできなかった。できるのは、縋るような目でカランクラル様を見上げることだけだ。闇の御方が、たかだか
「かつて、お前のように成長が遅い子がいたが、見事な石を育てたものだった。何が起きるか、分からないものだから──」
カランクラル様の端正な口元が苦笑に綻んだ、かと思うと、その指先がチャクルの額に触れて、
(私の水晶が、綺麗に育ってくれますように。我が君様の御力を秘めた、守り石になってくれますように……!)
美しい御方の
胸もとを押さえて俯くチャクルには構わず、カランクラル様は
「皆の健やかな健康を願っている。また、宮殿の外には出ぬように。──
(我が君様に石を捧げられずに砕かれるなんて……!)
無為に命を散らせることは、抱く石の貴賤に関わらず、
* * *
(お庭にも綺麗なものがいっぱいあるから良いもん……!)
美しいものを見て育った
迷信かもしれないけど、できることがあるならやっておきたいのが
ううん、続いてはいけないかもしれない。調度やら彫刻やら、宮殿を彩る宝石の多くは、カランクラル様の目になれなかった
だからより正確には、宮殿を彩る宝石よりもずっともっと美しく、と念じているのだろう、みんな。
(宝石も綺麗だけど……太陽の光、花弁、噴水の飛沫──どれも素敵じゃない?)
混ぜてもらえない
(私が見たものが私の石に宿って、我が君様に使っていただけたら……!)
カランクラル様の目は高望みだとしても、衣装の裾や
* * *
チャクルの日々は、概ねそんな風だった。カランクラル様に見蕩れ、ほかの子の囁きに傷ついては花や風や水に癒されて──平和で、変わり映えのしない。
けれど、
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