第9話 旅立ち

「ゴブ」(なんだか最近おかしいゴブ)


いやゴブリン集落の日常が普通かどうかはひとまず置いておくとして。


マザーから生まれるゴブリン亜種は結構な数がいるし、ナイト、ジェネラルといった

格上クラスも発生している。


その割には日々持ち帰ってくる獲物は少なくなっているので群れの食糧が足りない。


これでキングが生まれた日には森から溢れ出て周囲の別種族の縄張りや人里まで襲いそうな勢いだ。


「ゴブ~」(これはマズいゴブな)


こうなるとだいたい「スタンピードを事前に察知したぜ!!」とか言って冒険者が乗り込んできて無差別虐殺が始まるよな。


亜種が大量にいる時点でマザーの存在はバレるだろうしな。


「ゴブッ」(早めにこの集落から脱出がよいゴブ)


オレはいつでも逃げれるように準備を始めた。




脱出の決心をしてから4日、5日経っただろうか。

さらに食料事情は厳しくなってきたようで痩せこけて目がギラつているやつらが増えてきている。

オレか?

オレはゴブリンマザーの世話係の地位を確立しているため毎日食べ物が与えられる。

そして捕らえられた冒険者の残した革袋に少しづつ食べ物を貯めているのだ。


「ギャギャース!」


「グゲゲゲー!」


誰からともなく雄たけびがそこら中に響きだした。

これは始まったかもな・・・

オス、メスやクラス関係無く群れのほぼ全てが洞窟から地上へと向かいだす。

ゴブリンマザーも神輿のようにイスごと持ち上げられて移動しはじめた。

スタンピードの始まりだ。


「ゴブ」(今がチャンスだゴブ)


オレは群れが動き出した方向と反対に歩き出す。


あちらには村や町があるんだろうがいずれ強力な冒険者や騎士団にかちあうだろう。


「ゴブブ」(一応育ててもらった恩は忘れないゴブ)


そうしてオレは生後約2か月にして一人立ちして旅に出たのだった。



「ゴブッ」(ステータスオープン!)

名前(未設定)

種族 ゴブリン

職業 ゴブリンヒーラー

HP 8

MP 100

力  2

体力 2

素早さ3

賢さ 1

運  51(女神の加護+50 残り3日間まで有効)


スキル

悪食 (ゴブリン種族スキル 食に適していなくても腹をくださない)

再生 (スライム種族スキル 徐々に体力が回復、部位欠損も復元)

吸収 (スライム種族スキル 瀕死の対象を取込むと能力を得る)

    ※種族不一致のスキルは効果が半減します

聖魔法 レベル7(神の奇跡を顕現させるよ 回復、補助に特化☆)


称号

女神の加護 (言語理解 慣れ親しんだ言語に自動翻訳)

      (運の上昇 初回転生特典、期間限定)

      (簡易鑑定 意識するとスキルなどに説明がつく)


(補足)

身長 52Cm

体重 19kg


持ち物

皮のカバン 

 ・腐りかけた肉

 ・腐りかけた果実

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る