第18話 『追跡』

 足早に洞窟から出た俺達『E・R・Oハンター』は一直線に北の古代遺跡『病院』を目指す。


「もっと隠れながら進んだほうがいいんじゃないの?」


 俺は自身の子種(精子)が狙われていると聞き、股間を押さえながら走る。


「どっちみち位置情報はリアルタイムで把握されているわ。大丈夫。私に考えがあるの」


 「任せて」と胸を叩く二コ。


 おっぱいがプルンと揺れ、少し心が和らぐ。


「さっそく来たわよ!どうするの二コ!?」


 ロミが上空を指差す。


 上空には見覚えのある宇宙服が『ゴ――!!』という噴射音を立てながら浮いていた。


 二コの双子の姉、ミコだ。


「まったくあなた達、帰還命令が聞こえなかったの?」


 ミコが地面まで下降するとヘルメットを脱ぎながら溜め息をつく。


「天外、渡さない」


 ココが俺の前に出て両手を広げる。


「ん?稀人がどうかしたか?私はお前らを連れてこいと命令されただけだぞ」


 ミコが不思議そうに答える。


「情報統制されている?いよいよ悪い予感が当たったみたいね」


 ロニが頬に手を当てながら深い溜め息をつく。


「天外は渡さないわよ!」


 ロミの両手に短剣が転送される。


 ロミは両手に短剣を持ち、疾風迅雷の如くミコに襲いかかる!


 ガキィ――ン!!


 ミコは防ごうともせず、そのまま無防備にロミの攻撃を受けるが、宇宙服には傷ひとつつかない。


「無駄よ。あなた達の武器は8代目のマザーゴッドAIが産み出した『ヘラクレスシリーズ』でしょ。私の15代目『名匠宗近シリーズ』には傷ひとつつけれないわよ」


 ミコが右手を上げるとレーザーが上空へ飛び出し、やがて刀の形を型どる。


「天下五剣がひとつ『三日月』あなた達に勝ち目はないわ。早く投降しなさい」

 

「私が何とかするわ!みんな!目をつむって!」


 二コの声かけに全員が急ぎ、目を瞑る。


「これでいいか?」


 ミクがギュッと目を瞑る。


「フラッシュ攻撃?頼んだ二コ」


 ココもギュッと目を瞑る。


「よくわからないが、これでいいか?」


 ロミもギュッと目を瞑る。


「二コ……がんばるのよ」


 ロニは何かを理解し、そっと目を閉じた。


 俺も急いで目を瞑る。


「よし!ミコ!見なさい!」


 二コはそう言うと、俺のズボンとパンツを同時に勢いよく脱がし、俺のチンチ○を咥えた。


 パクっ!ジュルジュル……。


 え――!!?


 俺はあまりの衝撃に目を開けて一生懸命に俺のモノを咥える二コを見下ろす。


「あの……あう!そんなに激しく!」


 二コの口撃にあっという間に果てそうになる。


「んぅ!口の中で……おっきくなる――!?」


 二コは苦しそうだ。


「二コ……お前……いった……い……」


 衝撃の行動を目の当たりにしたミコは、そのまま固まった。フリーズだ!


「あ!ミコが固まった!今がチャンスだ!逃げよう!」


 そうか!二コ達、異世界人はAIの首輪が解析不能な予想外の事が起こると自分達では考えられずフリーズしてしまう。それでか!びっくりした!


「二コ!もういいよ!逃げよう!」


 二コに声をかけるが、反応がない。


 二コは俺のモノを咥えたままフリーズしていた。


「なぁ~もう目を開けていいかぁ~?」


 ミクがつまらなさそうに声を上げる。


「ちょっと待って!あとちょっと!」


 俺は慌てて声を上げる。


「もう、仕方ないわね……」


 いつの間にか目を開けて二コの隣に座っていたロニが二コの顔を両手で持ち、俺のモノから引き剥がす。


「あ!そんな急に!あぁ!!」


 俺は急な刺激に耐えきれず、思わず発射してしまう。


 ビュルル~!


「きゃぁ!」


 ロニと二コの顔に盛大にぶちまける!


「ご、ごめん~!!」


 情けなく謝りながらパンツとズボンをそそくさと履く。


「ん?……きゃ――!顔がベタベタ!何これ!口の中に入った!んべっ!にがっ!」


 目を覚ました二コがパニックだ。


「ほらっ、今のうちに逃げるわよ!」


 ロニが二コの手を引く。


「もう目を開けていい?」


 ココが聞く。


「みんな、目を開けて!逃げるよ!」


 二コの合図で全員、目を開けその場を離れた。


 【10分後】


「ん……あ……フリーズか」


 目を覚ましたミコが辺りを見渡す。


「また逃げられたか……。あまり失敗ばかりだと廃棄処分にされてしまう。がんばらねば」


 神国で人間は決められた仕事をしており、決められたノルマ内に仕事が進まないと『メンテナンス』に回され、それでもダメな場合は『廃棄』される。


「くんくん……この匂いは?」


『分析します……分析結果『unknown』』


「またunknownか……。あいつはいったい……」


 【病院付近】


「ねぇ、なんか変な匂いしない?」


「しないよ!全然しないよ――!!」


 俺は鼻をクンカクンカするミクを全力で否定する。


「しないわよ。変な匂いなんて」


 ロニが断言する。


「そうよ。しないわ」


 何食わぬ顔の二コ。しかし、目は泳いでいた。


「なんか、あんたの顔、カピカピしてない?」


 ロミが二コの顔を覗き込む。


 「してないわよ――!!」


 二コは大声を出すと、さっさと歩いていってしまった。


「びっくりした~。天外、二コの様子が変だったね」


 ロミが俺に同意を求める。


「そ、そうかな?ふ、普通じゃない?あはは!」


 普通じゃない返答をする俺。


「ほらっ、もうすぐ着くわよ」


 無駄話をしている俺達に注意をするロニ。


「ロニ、何か口にしている。栄養補給用のカプセルか?」


 口の中をモゴモゴしているロニに気になったココが「私も頂戴」と両手を合わせた手のひらをロニに差し出す。


「ごめんなさいね。これが最後なの。これ、なかなか飲み込めなくてね……」


 ロニは悪戯っぽく俺に口の中を見せてくる。


 ……それ!お、俺の精液!?。


わざと俺の前でゴックンしたロニは二コを追いかけるように歩いて行ってしまった。


 <つづく>

 

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