第17話 『討伐!ゴブリンロード!』
「順番にエンペラースライムに挑むゴブよ~」
ゴブピー先生が『はじまりの洞窟』最下層フロアボス『エンペラースライム』の前で生徒達の列を仕切っていた。
「うわっ!ヌルヌル!楽しいゴブ~」
ゴブリン生徒はフロア中央に鎮座するエンペラースライムの前に脚立を置き、次々とダイブしていった!
フロアボスのエンペラースライムは討伐すると初回クリア報酬で『俊足のオーブ』が手に入る。
しかし、AIの統制により冒険者がいなくなってからはエンペラースライムに戦う理由もなくなり、時折やってきたゴブリン達に大好物『ゴブリンの小水』を貰い、『ヌルヌルプール』を対価として提供していた。
「10分で交代ゴブよ~!それ以上は服が溶けるゴブよ~」
ゴブピー先生が大声で生徒達に注意をする。
エンペラースライムのヌルヌルは長時間浸かっていると服が溶けはじめるぞ!大変だ!
「きゃぁ――!!ゴブゾウ君が――!!」
「ゴブゴブゥ――!!(ヌルヌル気持ちいい――!!)」
エンペラースライムの上でゴブゾウのキングゴブ棒が暴れていた!
「ゴブゾウ君!早く下りるゴブ!理性が持たないゴブよ~!」
エンペラースライムのヌルヌルには性的興奮度が120%になる効果が付与されていた!
加えて、修羅場をくぐり抜けてゴブリンロードへと進化を遂げたゴブゾウの性欲は通常のゴブリンの10倍だ!我慢できるはずもなかった!
「きゃ――!!」
次々と服を剥ぎ取られる雌ゴブリン。
「まずい!ゴブリンロードとのゴブ姦は子供ができてしまうゴブ!ゴブナガ先生!」
「ゴブピー先生!」
ゴブナガ先生がゴブピー先生の元へ急ぎ駆け寄る。
ゴブピー先生はゴブナガ先生と目を合わせ、同時に頷くとゆっくりと口を開いた。
「……もうひとつ教室を増やすゴブか!」
「そうしましょうゴブ!」
ゴブピー先生とゴブナガ先生はこれから生まれてくるであろう赤ちゃんゴブリンのための場所の確保のため洞窟の出口に向かって談笑しながら去っていった。
「ゴブゥ――!!(オデ、強い!)」
「ムリムリムリムリ!いやぁ――!!」
ゴブゾウは手当たり次第、雌ゴブリンを犯しはじめた。
「やめてゴブ!犯すのは私だけにしなさいゴブ!」
ゴブゾウに片思い中のゴブエが叫ぶ。
「無理よ。今のゴブゾウに声は届かないゴプわ」
親友で浮気相手(?)のエフリンがゴブエに話しかける。
「そんな……」
その場でうずくまり、悲しむゴブエの後方から助けの声が聞こえた。
『私達に任せなさい!』
ゴブリンに変装した『E・R・Oハンター』だ!
「うわ!一匹すごいゴブリンがいるな。大丈夫?」
勇者の俺、天外は勇ましく名乗り出た五人の後ろで情けなく岩陰に隠れる。だって、でかいゴブリンが暴れてるよ?危ないよ?
「心配しないで、天外は何もしなくていいわ」
ロミは笑顔で俺に親指を立てる。
「ゴブリン退治、問題ない」
ココも躊躇なく進む。
二コが座り込むゴブエに話しかける。
「私達がゴブゾウをなんとかするわ。ただ、あなた達で一瞬でいいから隙を作ってほしいの。できる?」
絶望していたゴブエだったが、自信満々の五人の表情を見て、大好きなゴブゾウのため意を決して立ち上がる。
「わかったゴブ!隙を作ればいいゴブね!ゴブゾウを……助けて!え~い!!」
ゴブエは掛け声と共にエフリンに巴投げを仕掛け、エンペラースライムへ投げ飛ばす!
「うぇ――!!?」
空を飛ぶ親友だったエフリン!
バシャ~ン!!
「あぷ!おぼれゴブ!おぼろっ!アプアプ……」
エフリンはエンペラースライムに着水すると目の前にモザイクがかかったキングゴブ棒がそびえ立っていた。
――!?
圧倒的存在感がエフリンの顔に影を落とす。
キングゴブ棒を両手で持ち、少し横にズラすとニヤリと笑っているゴブゾウが見えた。
ゴブゾウは巨乳のエフリンが大好きだ。
「エフリン……おぉぉ――!!」
「いやぁ――!!」
エフリンはエンペラースライムのヌルヌルプールをバシャバシャ泳いで必死で逃げるが、体長2メートルにまで成長したゴブリンロードのゴブゾウにあっという間に追いつかれる。
ビリビリビリ!
「キャァ――!!」
ゴブゾウは容赦なくエフリンの服を破り捨て、丸裸にする。
エフリンの悲鳴を心地よく聞いたゴブエは振り返る。
「これでいい?」
「いいけど……あなた、あの子に恨みでもあるの?」
腕組みをしたロニがスッキリとしたゴブエに尋ねる。
「恨みしかないわ!」
ハッキリと答えたゴブエの言葉に、ロニは「……そう」と頷いた。
『解析完了。討伐アイテム転送します』
両手を上げて立っていたミクの首輪から音声が流れる。
「二コ!解析終わったわ!来るわ!」
次の瞬間、五人の目の前の空間が歪み、それぞれの武器が転送されてきた。
「すごい!異世界では武器は持ち運ばなくていいのか!便利!」
道理でこの世界に来てから袋とかバックとかリュックとか持ち運ぶための道具を見ていないと俺は妙に納得した。
「行くよ!」
二コの合図で五人は武器を取り、エンペラースライムへダイブする。
「おご!おごがご~!」
ゴブゾウはエフリンの頭を掴み、キングゴブ棒を咥えさせていた。
「気持ちいいゴブ~。そろそろ入れようゴブね~」
エフリンを無理やり後ろに向かせ、キングゴブ棒をエフリンの秘部に当てる。
「ムリムリ!助けてゴブ!助けてゴブ!」
「やめなさい!私が相手よ!」
二コは手に持った扇風機のような機械を両手に掲げた。
機械から強風が吹き荒れる。
『 空気冷却法』
熱のこもったゴブ棒を空気にさらすことで自然に冷却させる方法です。ただし、肥大したキングゴブ棒の場合は非常に時間がかかるため、あまり得策とは言えません。
「風が気持ちいいゴブ~。入れちゃえ」
「んぁ――!!いやぁ~ゴ……プ……」
エフリンの悲鳴が洞窟内に響き渡る。
「なにやってるのよ二コ!私に任せて!」
ミクは機械のついたホースをゴブゾウに向ける。
ホースから大量の水が放出される!
『水冷法』
水をかけて熱膨張したゴブ棒を冷やす方法です。ただし、急激な温度変化は対象物が変形するおそれがあります。
「冷たいゴブ。でも気持ちいいゴブ」
キングゴブ棒はさらに肥大しイビツな形に変形した。
「中で形を変えるゴブ!あぁ――!!」
エフリンの悲鳴(?)がゴブゾウをさらに奮い立たせる。
「二コもミクも下がってて。私がやる」
ココはバケツを手に持ち、ゴブゾウに中身の液体を投げかける。
「臭いゴブ!ヌルヌルするゴブ!」
『油冷法』
油に浸して冷却する方法です。油の比熱が高いため、急激な温度変化を避けることができます。ただし、油の性質によっては引火する恐れがあるため、非常に注意が必要です。
「あとは引火すれば」
ココは手に持ったライターに火をつける。
「ココ!そんなことしたら雌ゴブリンも丸焦げだぞ――!!」
俺はたまらず叫ぶ。
「別にいいゴブ……」
ゴブエが呟く。
「きゃ!」
ココに別のゴブリンがぶつかり、ライターの火がゴブゾウに燃え移った!
ゴォ――!!
「ギャァ――!!熱いゴブ――!!」
燃え上がるゴブゾウ!
「はぁ――ん!熱い!熱いゴブ!中が熱い!助けて!!」
エフリンに入れられたゴブ棒が熱した鉄のように熱くなる!
「もう!大惨事じゃない!私に任せて!」
ロミは冷蔵庫のような大きな箱を掲げ、中から数多の氷がゴブゾウに降りかかる。
『 氷冷法』
冷凍庫に入れて冷やした氷を熱せられたゴブ棒にあてる方法です。急激な温度変化が起こるため、曲がったり、ひび割れたりする可能性があるため、必要以上に強くあてないことが大切です。
「あうゴブ!火が消えたゴブ!気持ちいいゴブ!」
氷が当てられたゴブ棒は感度MAXだ!
「もうムリ――!!」
エフリンはぐったりしている!
「天外!」
ロニが岩陰に隠れている俺の元へ駆け寄る。
「あなた、あれの治め方知ってるんじゃない?」
ロニの真剣な眼差しに、俺も真面目に答える。
「たぶん、ゴブ棒に刺激を与えて精子を出せば治まるよ」
「……やっぱり」
ロニは目をつむり少し考えると、ゆっくりと目を開けてみんなに向かって叫ぶ。
「みんな!何もしなくていいわ!」
――!?
ロニの提案に従い、全員、溶けかかった服を押さえながらエンペラースライムから退却。
残されたエフリンの犯される声を数時間聞いたあと、ゴブゾウは大人しくなった。
「ふぅ~出した出したゴブ」
「えっぐ!えっぐ!ひどいゴブ。嫌って言ったゴブ……ゴブゾウ君なんて大嫌い!」
「ガ――ン!!」
「私なら……相手してあげてもいいわよ」
落ち込むゴブゾウに声をかけるゴブエ。
「ゴブエ……ありがとゴブ。オデ……ゴブエとゴブ姦したいゴブ」
「ゴブゾウ君……」
仲良く手を繋いで洞窟を出る二匹。
「いったい何だったのよ……」
途方にくれる二コ。
『任務完了。至急、帰還せよ』
二コの首輪から音声が流れる。
『任務完了。至急、帰還せよ』
他の彼女達の首輪からも同じ音声が流れる。
「お?やっと帰れる!洞窟じめじめしてるから、帰ってお風呂入ってベッドで寝たいな!」
俺はその場で伸びをする。
「私も!」
「私もリカバリーマシンに入りたいな」
ロミとミクも一緒に伸びをする。
「残念だけどそれはできないわ」
ロニが真剣な眼差しをこちらへ向ける。
ロニの言葉にココが反応する。
「今日の調査結果から、精子の摂取方法がわかった。天外、あなたのunknownに刺激を与えればいいいのね」
「え!?ま、まぁ……へへ」
なぜかテレる。
「まずいわね。マザーゴッドAIに情報が伝達されてしまったわ」
「二コ、何がまずいの?」
俺は難しそうな顔をしている二コに話しかける。
「あ、あの……」
二コの顔が赤くなる。
代わりにココが代弁する。
「天外、この世界で今、子供を作る『種』が生成できるのはあなただけ。そして、ゴブリンの行動から子供を作る『行為』もある程度判明したわ。あなた、神国のAIに捕まれば一生『種』を出し尽くされるわよ」
「ひぇ!無理やりはちょっと……」
俺は棺桶に保管されて股間から管が伸びて搾り取られる姿を想像する。
「でもAIの首輪があるかぎり、こっちの行動は神国内に筒抜けだぜ?」
ミクが首輪を指す。
ロミが何かを思い出す。
「そういえば、北の『病院』という古代遺跡に住むエルフに首輪を外された者がいると聞いたことがあるわ」
病院!そっか、異世界では個別にリカバリーマシンを持っていて、体調不良も治してくれるから病院は必要なくなったのか。
「そうね。寿命の長いエルフなら何か知っているかも……。いいわ、行ってみましょう!」
二コは立ち上がる。
『至急、帰還せよ!至急、帰還せよ!』
彼女達のAIの首輪から音声が鳴り響く。
彼女達はその声を完全に無視して次の目的地『病院』へ向かうため、足早に洞窟を後にした。
俺は心の中で「エルフ病院!エロそう!」と思うのであった……。
『至急、帰還せよ!至急……』
<つづく>
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